主体的・対話的で深い学びとは|教採の教職教養で問われる三つの視点を整理
主体的・対話的で深い学びとは|教採の教職教養で問われる三つの視点を整理
「アクティブ・ラーニングって結局なんなの?」
この疑問を持つ受験生は多い。 「主体的・対話的で深い学び」という言葉は知っている。 でも三つがそれぞれ何を意味するか、問われると答えられない。
教採では、三つの視点をそれぞれ正確に説明できるかどうかが問われる。 「なんとなく知ってる」では選択肢の正誤を判断できない。
主体的・対話的で深い学びとは
2017年(平成29年)に告示された現行の学習指導要領で、授業改善の視点として示されたキーワード。
正式には「主体的・対話的で深い学び(いわゆるアクティブ・ラーニング)の視点からの授業改善」という形で提示されている。
アクティブ・ラーニングという言葉がそれ以前から使われていたが、学習指導要領では「アクティブ・ラーニング」という語を前面に出さず、具体的な三つの視点として整理された。
重要なのは、「授業形式の変換」ではなく「授業改善の視点」であること。 グループワークや討論をすれば「主体的・対話的で深い学び」になる、というわけではない。
三つの視点の定義
① 主体的な学び
「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる」学び。
ポイントは3つ。
- 見通しを持って取り組む: 単に「やらされている」のではなく、自分で目的を持って学ぶ
- 粘り強く取り組む: 一時的な参加ではなく、継続的な学習への関与
- 振り返って次につなげる: 学習の振り返り(自己評価)が含まれている
② 対話的な学び
「子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める」学び。
「対話」は子ども同士だけではない点が問われやすい。
- 子ども同士の協働
- 教師・地域の人との対話
- 先哲の考え方を手掛かりにする(書物との対話も含む)
「先哲の考え方を手掛かりにする」という部分は意外と見落とされやすい。 「対話的な学び=グループワーク」ではないという認識が大事。
③ 深い学び
「各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう」学び。
「見方・考え方」という言葉は現行学習指導要領のキーワードの一つ。 各教科固有の「見方・考え方」を働かせることで、知識が有機的につながっていく状態を「深い学び」と呼ぶ。
アクティブ・ラーニングとの関係
混同されやすいので整理しておく。
| 主体的・対話的で深い学び | アクティブ・ラーニング | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 授業改善の視点(目的) | 授業形式・手法の総称 |
| 学習指導要領上の扱い | 正式に示されたキーワード | 補足的な説明として使用 |
| 重点 | 学びの質 | 活動の形式 |
文科省の考え方として、「アクティブ・ラーニングという言葉が一人歩きして、活動することが目的化することへの懸念」がある。 形式的なグループワークや発表を増やすことが目的ではなく、学びの質を高めることが目的という整理。
教採での出題ポイント3つ
1. 三つの視点それぞれの定義
「対話的な学びの説明として正しいものを選べ」という出題が多い。 「先哲の考え方を手掛かりにする」が含まれているかどうかが選択肢の区別ポイントになりやすい。
2. アクティブ・ラーニングは「手段」
「アクティブ・ラーニングの実施が目的である」は誤り。 「主体的・対話的で深い学びの実現を目指した授業改善の視点として位置づけられる」が正しい。
3. カリキュラム・マネジメントとの関係
主体的・対話的で深い学びは、カリキュラム・マネジメントと並ぶ現行学習指導要領の二大キーワード。 両者を組み合わせた問題が出ることもある。
自治体別の力点
東京都
東京都は三つの視点の具体的な授業実践と結びつけた問いが多い。 「主体的な学びを促す指導として適切なものを選べ」という出題形式で、振り返りの場面設定が含まれているかどうかが判断基準になるケースがある。
論作文でも「主体的・対話的で深い学びを実現する授業のあり方」というテーマが出題されている。
大阪府
大阪府は三つの視点の定義文を直接問う知識問題が中心。 選択肢の文言の違いを正確に判断できるかが問われる。
愛知県
愛知県は「深い学び」の「見方・考え方」を問うケースが見られる。 「各教科等の特質に応じた見方・考え方」という表現が選択肢に使われる。
学習法アドバイス(元教員より)
離島の小学校で「アクティブ・ラーニング」という言葉が飛び交い始めたとき、正直「また新しいことが来た」という感覚だった。
でも学習指導要領の説明を読み込んでいくと、「子どもが見通しを持って学び、振り返る」「先生や友達、本との対話で考えが深まる」という本質は、昔から大事にされてきたことと地続きだとわかった。
「新しい形式を導入すればいい」ではなく、「子どもの学びの質を問い直す」ということ。 論作文でもこの理解があると、言葉に実感が宿る。
学習の優先順位:
- 三つの視点(主体的・対話的・深い)それぞれのキーワードを押さえる
- 「対話的な学び」に「先哲の考え方」が含まれることを覚える
- 「アクティブ・ラーニングは手段であって目的ではない」を整理する
- カリキュラム・マネジメントとの関係を確認する
文科省のリーフレット「学習指導要領のポイント」は無料でPDFが公開されており、図解でわかりやすい。
関連用語
- 学習指導要領 — 主体的・対話的で深い学びが位置づけられた根拠文書
- カリキュラム・マネジメント — 学習指導要領の二大キーワードとして並ぶ概念
- 個別最適な学び・協働的な学び — 令和の日本型学校教育との関連で理解しておくべき概念
- 令和の日本型学校教育 — 主体的・対話的で深い学びをさらに発展させた政策文書
参考:
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