令和の日本型学校教育とは|教採の教職教養で問われる答申の要点を整理
令和の日本型学校教育とは|教採の教職教養で問われる答申の要点を整理
「令和の日本型学校教育ってよく聞くけど、何を言ってるのかよくわからない」
こういう声をよく聞く。 長い名前の割に内容が掴みにくい。
実際の答申のタイトルは「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現〜」。 これだけで内容の骨格が入っている。
キーワードは「個別最適な学び」と「協働的な学び」の2つだ。
答申の基本情報
- 名称: 「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)(中教審第228号)
- 発出: 2021年(令和3年)1月26日
- 発出元: 中央教育審議会
2017年の学習指導要領改訂で「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」が打ち出されたが、その後の社会変化(コロナ禍・GIGAスクール構想の前倒し実施など)を受けて、さらに学校教育のあり方を示したのがこの答申だ。
「日本型学校教育」とは何か
タイトルに「日本型」とあるのは、日本の学校教育の特徴(学習指導だけでなく生活指導・部活動・行事など学校が総合的に子どもの成長に関わる)を指している。
答申では、従来の日本型学校教育の良さを継承しながら、それを令和という時代にアップデートすることを目指している。 「捨てるのではなく、発展させる」というスタンス。
二つの核心概念
個別最適な学び
「個別最適な学び」は、2つの概念から構成されている。
① 指導の個別化 支援が必要な子どもにはより手厚い支援を、子どもの学習の習熟度に応じた指導内容・方法・ペースの調整を行う。
② 学習の個性化 子どもの興味・関心・キャリア形成の方向性に応じた学習活動の充実。 画一的な学習ではなく、一人ひとりが自分の学びを自ら調整できる力を育てる。
協働的な学び
「個別最適な学び」だけを強調すると、孤立した学習になりかねない。 答申はこの危険性を明示的に指摘し、「個別最適な学びと協働的な学びは一体的に充実させるべき」としている。
協働的な学びとは:
- 子ども同士で協力して課題に取り組む
- 多様な他者と関わりながら考えを深める
- 学校の外の地域・社会とのつながりの中で学ぶ
一体的充実の意味
「個別最適な学び」と「協働的な学び」は対立する概念ではなく、相互に補完しながら進める。 「個別学習を深め、それをグループで共有・発展させる」という往復が、一体的充実のイメージだ。
ICT活用との関係
答申は、「個別最適な学びと協働的な学び」を実現するためのツールとして、ICT(特にGIGAスクール構想で整備された1人1台端末)の活用を強調している。
ICTを活用することで:
- 個人の学習ペースに合わせたドリル・フィードバックが可能に(個別最適)
- デジタルツールを使った意見共有・協働制作が可能に(協働的)
この答申以降、ICT活用と個別最適な学びは教採でもセットで問われることが増えている。
教採での出題ポイント3つ
1. 答申のタイトルと発出年
「令和の日本型学校教育の答申はいつ出されたか」→2021年(令和3年)1月。 「中央教育審議会が取りまとめた文書か」→はい(中教審第228号)。
「文部科学省が発出した通知」は誤り。答申は中央教育審議会が取りまとめるものだ。
2. 「個別最適な学び」の2つの構成要素
「個別最適な学びとして正しいものを選べ」という問いに対し、「指導の個別化」と「学習の個性化」の2つが含まれているかどうかが判断ポイント。
「一人で学ぶこと」「ICTを使った学習」はそれだけでは不正確。
3. 一体的充実の意味
「個別最適な学びと協働的な学びは、どちらかを選んで実施する」は誤り。 「一体的に充実させる」という立場で、両者がセットであることを押さえておく。
自治体別の力点
東京都
東京都は「個別最適な学び」の具体的な授業実践と論作文テーマへの活用が多い。 「令和の日本型学校教育の答申を踏まえて、学級経営・授業でどう取り組むか」という論作文問題が出ることがある。
大阪府
大阪府は答申の内容を正確に問う知識問題が中心。 「個別最適な学びの説明として正しいものを選べ」という問いに対し、指導の個別化・学習の個性化の両方が含まれているかを判断できるようにしておく。
愛知県
愛知県はGIGAスクール構想との関連で出題されやすい。 「令和の日本型学校教育とICT活用の関係を問う」問題では、ICTが目的ではなく手段であるという整理が必要になる。
学習法アドバイス(元教員より)
「令和の日本型学校教育」という名前はいかめしいが、言っていることは「全員一緒に同じ授業だけじゃなく、一人ひとりに合わせながら、でも仲間と一緒に学ぶことも大切にしよう」ということだ。
離島の複式学級という特殊環境で教えていたので、「個別最適」と「協働的」を同時にやることが半ば必然だった。 そのやり方が、政策的に評価される時代になったというふうに読んでいる。
論作文では「個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実」というフレーズをそのまま使えるので、答申の名前と内容は覚えておいて損はない。
学習の優先順位:
- 答申の名称と発出年(2021年1月、中教審)を覚える
- 「個別最適な学び=指導の個別化+学習の個性化」を押さえる
- 「協働的な学びとの一体的充実」という立場を確認する
- GIGAスクール構想との関連を整理する
文科省のウェブサイトに答申の全文と概要資料が公開されている。 全文は長大なので、概要(エグゼクティブサマリー)と「個別最適な学び・協働的な学び」の章を重点的に確認するといい。
関連用語
- ICT活用・GIGAスクール — 「令和の日本型学校教育」の実現に欠かせないインフラ
- 個別最適な学び・協働的な学び — 答申の核心概念
- 主体的・対話的で深い学び — 学習指導要領の授業改善の視点。令和答申の前段にある考え方
- カリキュラム・マネジメント — 答申が示す学校経営の視点と連動する
参考:
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