いじめ防止対策推進法とは|教採の教職教養で問われる条文・定義・出題傾向
いじめ防止対策推進法とは|教採の教職教養で問われる条文・定義・出題傾向
いじめ防止対策推進法は、教職教養の中でも法令分野の代表的な頻出テーマだ。
「なんとなく知ってる」で試験に臨むと、選択肢の細かい言い回しで引っかかる。 特に「いじめの定義」は条文の文言を正確に知っているかどうかが直接問われるので、ここだけは丸ごと覚える必要がある。
この記事では、教採で実際に問われる箇所を中心に整理する。
いじめ防止対策推進法とは
2013年(平成25年)9月28日に施行された法律。 正式名称は「いじめの防止等のための対策の推進に関する法律」。
制定の直接的な背景は、2011年(平成23年)に滋賀県大津市で起きた中学生のいじめ自殺事件だ。 この事件を機にいじめ問題が社会的な議論を呼び、国として法的な枠組みを整備する必要性が認識された。
全5章37条からなる。
法律上の「いじめ」の定義(第2条)
第2条に定義されている。
「この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は身体的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。」
長いけれど、ポイントになる要素は3つ。
- 「一定の人的関係」 — 同じ学校の児童・生徒だけでなく、塾や習い事など学校外の関係も含む可能性がある
- 「インターネットを通じて行われるものを含む」 — SNSや掲示板でのいじめも明示的に対象
- 「心身の苦痛を感じているもの」 — 行為者の意図ではなく、被害者がどう感じたかで判断する
3つ目が特に重要で、「いじめているつもりはなかった」は法律上の理由にならない。
教採での出題ポイント3つ
1. いじめの定義の文言
第2条の定義は、選択肢問題でそのまま問われることが多い。 特によく引っかかるのが「加害者の意図」に関する誤り。
「故意に苦痛を与える行為」という選択肢が出てきたら誤りだと判断できる。 法律上は「被害者が心身の苦痛を感じていること」が要件で、加害者の意図は問わない。
2. 学校・教師・国・地方公共団体の責務
この法律は関係者それぞれに責務を課している。
- 国・地方公共団体: いじめ防止の基本方針の策定
- 学校: 「いじめ防止等のための対策に関する基本的な方針」の策定義務(第13条)
- 学校設置者: 学校への支援と取組の確認
「学校に基本方針の策定が義務付けられているか」を問う問題は出題頻度が高い。
3. 重大事態の定義と対応
第28条に「重大事態」の定義がある。
「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」
具体的には、以下のいずれかに該当する場合。
- 生命・心身・財産への重大な被害が生じた疑い
- 相当の期間(目安: 年間30日)学校を欠席した疑い
重大事態が発生した場合、学校は速やかに学校設置者への報告と、事案に係る調査を行う義務を負う(第28条)。
自治体別の力点
東京都
東京都は「いじめの定義」と「重大事態への対応フロー」を問う出題が多い。 論作文でもいじめ対応をテーマにした出題が見られ、法的根拠を示しながら対応を述べる答案が求められやすい。
大阪府
大阪府は条文の知識問題が中心。「学校に基本方針の策定義務があるか」「インターネットを通じたいじめは対象か」といった正誤判定問題が出題されやすい。
愛知県
愛知県は「生徒指導提要」(2022年改訂版)との組み合わせで問われるケースがある。 いじめ防止対策推進法の内容を、生徒指導提要が示す支援の考え方と結びつけて理解しておくと対応しやすい。
学習法アドバイス(元教員より)
現場でいじめ対応をしていた経験から言うと、この法律の定義は実際に子どもたちと向き合うときにも役立つ。 「心身の苦痛を感じているかどうか」で判断するという考え方は、第三者から見て「たいしたことない」と見えるケースでも、子どもの訴えを正面から受け止めるための基準になる。
試験対策としては、第2条の定義を一度書き写して手元に貼っておくのがいちばん早い。 読むだけだと似た言い回しで混乱するので、書いて覚える方が確実だ。
学習の優先順位:
- 第2条(定義)を条文で覚える
- 学校の義務(第13条・第28条)を確認する
- 「生徒指導提要」のいじめ関連記述も併せて読む
文部科学省のウェブサイトでこの法律の全文と、「いじめの防止等のための基本的な方針」(2023年改定)がPDFで公開されている。
関連用語
- 特別支援教育 — 特別な支援を要する子どもとのかかわりで、いじめ問題が交差することがある
- 道徳教育 — いじめ防止と道徳の時間は指導上密接に関わる
- 学習指導要領 — 現行指導要領でも「いじめを許さない態度の育成」が明記されている
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