「臨時講師を何年かやっている。その経験は、教員採用試験で、有利になるのか」。
調べると、「講師経験者特別選考」「一次免除」「加点」など、言葉が自治体ごとに違う。条件も、バラバラだ。
この記事は、教育委員会の公式資料だけをもとに、2026年実施の要項で、講師経験がどう扱われるかを整理したものだ。要項の本文を確認できたのは、福井県、兵庫県、岡山県、広島県・広島市、大分県の5つ。
先に、年度の呼び方を確認しておく。この記事の5つは、すべて2026年に実施された試験だ。
| 自治体 | 要項の表記 | 実施年 |
|---|---|---|
| 福井県・兵庫県 | 令和9年度(2027年度)採用 | 2026年 |
| 岡山県・広島県・広島市・大分県 | 令和9年度(令和8年度実施) | 2026年 |
2027年実施の要項は、確認した範囲では、まだ出ていない。制度は毎年変わる。実際、兵庫県は、2026年実施の要項で、講師経験者の免除や加点の要件を広げている。受験する年の最新の資料で、必ず確認してほしい。
愛知県や沖縄県など、過去の資料に講師経験者向けの制度が見える自治体もある。ただし、2026年実施の要項の本文を確認できなかったため、この記事には入れていない。確認できなかったことは「確認できなかった」と書く。
要項を読むと、講師経験は、次の3つの形で使われている。
| 使われ方 | 内容 | この記事の例 |
|---|---|---|
| ① 第1次試験の全部免除 | 第1次選考を、受けなくてよい | 福井県、兵庫県、大分県、岡山県C① |
| ② 第1次試験の一部免除 | 筆記を免除し、面接などだけ受ける | 岡山県C②、広島県・広島市、兵庫県(一般教養) |
| ③ 加点 | 第1次選考の得点に、点数を足す | 兵庫県 |
まず、5自治体を、並べる。
| 自治体 | 必要な経験の長さ | 優遇の中身 |
|---|---|---|
| 大分県 | 講師等で通算12月以上(前々年度の第1次合格者) | 第1次試験の免除 |
| 兵庫県 | 臨時講師1年/2年/3年 | 加点10点/加点20点/一般教養試験の免除(臨時教諭等2年は全部免除) |
| 岡山県(C②) | 通算24か月以上 | 筆記免除+特別面接 |
| 広島県・広島市 | 過去4年間で通算36月以上 | 第1次は個人面接のみ |
| 福井県 | 県内で60月以上 | 第1次選考の全部免除 |
必要な経験は、12か月から60か月まで、5倍ほど違う。ただし、期間だけでは比べられない。次の章で、条件の違いを見る。
比べるときは、期間のほかに、次の4つを見る。
| 自治体 | 経験の場所 | 非常勤の扱い | 今の勤務 | 経験の同一性 |
|---|---|---|---|---|
| 福井県 | 福井県内の学校(幼稚園を除く) | 会計年度任用職員(非常勤講師)は、授業が週5時間以上 | 令和8年度に県内国公立学校で勤務している講師等 | 全部免除は、受験する(併願を含む)校種・教科に適用 |
| 兵庫県 | 加点・一般教養免除は県内外・国公私立(出願時点では県内で任用) | 会計年度任用職員も対象。週の勤務時間は問わない | 出願時点で、県内の公立学校などで任用されている | 加点・一般教養免除は、校種・教科を問わない。全部免除(臨時教諭等)は同一の区分・校種・教科 |
| 岡山県(C②) | 岡山県の公立学校等(岡山市立の小・中・義務教育学校を除く) | 経験の月数には、非常勤講師を数えない。今の勤務には、非常勤講師も含む | 令和8年度に勤務している | 経験の校種・教科は問わない |
| 広島県・広島市 | 広島県・広島市の公立学校 | 会計年度任用職員等も数える | 要項の要件欄に、記載がない | 受験する職種・校種・教科と同一の経験に限る |
| 大分県 | 大分県内の国公立学校 | 非常勤講師も数える | 現に任用されている | 同一の試験区分(教科・科目等)で受験する |
この表で、特に差が出るのは、2点だ。
① 今も勤務しているか。 福井県、兵庫県、岡山県、大分県は、今の勤務が条件になっている。広島県・広島市は、要項の要件欄に、現に勤務していることを条件とする記載がない。
② 同じ校種・教科の経験か。 広島県・広島市は、受験する職種・校種・教科と同一の経験に限られる。一方、岡山県C②は、経験を数える校種・職種・教科を問わない。
数え方は、どの自治体も似ている。発令の期間が月内に1日でもあれば、その月を1か月と数える(福井県、岡山県、広島県・広島市)。兵庫県は、月に30日未満の勤務も1月とカウントし、12月で1年とする。
福井県は、第1次選考の免除を「全部免除」と「一部免除」に分けている(要項P9)。全部免除は、一般・教職と、教科等専門の両方が免除される。
講師経験者に関わる区分は、2つある。
エ 県内国公立学校勤務の講師等経験者(60月以上経験者)
イ 昨年度1次合格者(講師等経験者および大学院在学者)
昨年度に、エの区分で受験した人は、今年度も、エの区分で申請する。昨年度1次合格者の区分では、申請しない。
出産や育児などで、継続的な受験が困難な場合は、事前に得た免除の資格を延長できる。この制度を使うときは、受付期間内に、教職員課に問い合わせる。
兵庫県は、2026年実施の要項の「昨年度からの主な変更点」に、講師経験者に関わる変更を3つ挙げている(p1)。
加点(臨時講師等) は、第1次選考で足される(p12)。出願時点で、県内の公立学校(神戸市立学校を除く)か国公立大学法人附属学校で、臨時講師または会計年度任用職員として任用されている人が対象だ。令和5年4月1日〜令和8年3月31日の教職経験(県内外、国公私立、校種・教科を問わない)で、次の点数になる。
| 経験 | 加点 |
|---|---|
| 臨時講師として2年 | 20点 |
| 臨時講師と会計年度任用職員としてあわせて2年以上(臨時講師として1年以上が必要) | 20点 |
| 臨時講師として1年 | 10点 |
| 会計年度任用職員として1年 | 10点 |
| 臨時講師と会計年度任用職員としてあわせて1年以上 | 10点 |
加点措置の合計は、要項の表の中で、最大30点だ(p11)。
一般教養試験の免除(一部免除) は、次のすべてを満たす人だ(p8)。
この場合、第1次試験は、集団面接と、筆記試験のうちの教科専門試験になる。
全部免除(臨時教諭等) は、次のとおりだ(p7)。
履歴証明書Aが必要だ。教職経験は、月に30日未満の勤務も1月とカウントし、12月で1年とする。通算もできる。
岡山県の講師経験者の特別選考は、2つある(要項p3-4)。特別選考への出願は、1つだけだ。複数の特別選考には出願できない。
C① 講師経験者を対象とした特別選考(前年度第1次試験合格者) — 第1次試験を免除
C② 講師経験者を対象とした特別選考(経験年数) — 筆記試験を免除し、特別面接を実施
岡山県の「公立学校等」には、岡山市立の小学校・中学校・義務教育学校は入らない。岡山市の試験は、別の試験だ(岡山市の記事)。
「常勤講師等」は、常勤講師、養護助教諭、実習助手(兼講師の者のみ)、育児短時間勤務のための任期付短時間勤務職員のことだ。「非常勤講師」は、県費負担の非常勤講師に限る。
広島県・広島市の「臨時的任用等教職経験者を対象とした特別選考」は、全校種・全職種・全教科が対象だ(要項p4)。
教諭は、次のア、またはイのどちらかを満たす。
どちらも、受験する職種・校種・教科と、同一の教職経験に限る。養護教諭・栄養教諭にも、同じ形の要件がある。
試験は、第1次選考が個人面接(1人1回)、第2次選考は一般選考と同じだ(p7)。主な評価項目は、教育的愛情、使命感、積極性、意欲、教科指導力、生徒指導力が挙げられている。
いずれか一つの選考区分でしか受験できない(併願不可)。
大分県は、「第1次試験の免除」の要件を、5つ挙げている(要項p5)。講師経験者に関わるのは、④だ。
さらに、①〜④は、免除の根拠にした試験と、同一の試験区分(教科・科目等)を受験する人に限る。「第1次試験を受験し、合格した者」には、第1次試験の免除者は含まない。特別選考(II)〜(VII)を受験する人や、併願を希望する人には、この免除は使えない。
①は、前年度(令和8年度、令和7年度実施)の第1次試験の合格者だ。④は、そのもう1年前の第1次合格者が、講師を続けていれば、免除を使える形だ。
要項の冒頭には、「第1次試験の免除制度の拡充」が、昨年度からの主な変更点として挙げられている。ただし、何が拡充されたのかは、確認できなかった。
要項に書かれている範囲で、免除や特別選考のあとの試験を整理する。
| 自治体 | 優遇のあとに残る試験(要項の記載) |
|---|---|
| 福井県 | 全部免除の人は、第2次選考当日(7月31日)の受付で、免除の書類を提示する |
| 兵庫県 | 一般教養の免除は、集団面接と教科専門試験。加点は、第1次選考の得点に足される |
| 岡山県(C②) | 筆記試験は免除。特別面接(口頭試問を含む)を実施 |
| 広島県・広島市 | 第1次は個人面接。第2次は一般選考と同じ |
| 大分県 | 第1次試験は免除 |
ここからは、要項に書かれた事実ではなく、一般論だ。
第1次の筆記を受けない場合、準備の中心は、面接や、論文などに移る。広島県・広島市のように、第1次が個人面接だけの場合は、講師としての実践を、自分の言葉で語れるかが、そのまま問われる。
講師経験を、面接でどう語るかは、別の記事で整理している。
要項からは、免除された人が、どれだけ合格しやすいかは分からない。免除されるのは、受けなくてよい試験があるということで、受ける試験の評価は、別だ。
福井県、兵庫県、岡山県、大分県は、今の勤務が条件だ。年度の途中で、任用が終わる場合や、任用先が変わる場合は、出願の前に、教育委員会に確認するのが確実だ。岡山県は、出願する人は、事前に所属長に、その旨を伝えるよう求めている。
非常勤の扱いは、自治体で違う。福井県は、授業が週5時間以上。兵庫県は、週の勤務時間を問わない。岡山県C②は、経験の月数に、非常勤講師を数えない。自分の任用の種類が、要項のどの言葉に当たるかを、確認する。
広島県・広島市は、受験する職種・校種・教科と同一の経験に限る。大分県は、同一の試験区分で受験する人に限る。兵庫県の全部免除(臨時教諭等)も、同一の区分・校種・教科だ。受験する教科を変える予定があるなら、先に確認する。
広島県・広島市は、選考区分の併願ができない。岡山県は、特別選考への出願を1つだけとしている。大分県は、免除を使う人は、併願ができない。免除や特別選考を使うと、併願の自由度が下がることがある。
教員採用試験に落ちた翌年に臨時的任用講師(臨任講師)として働きながら公立教採に再挑戦する人の実態を解説。常勤と非常勤の違い、給料相場、期限付き採用との関係、担任のリスク、教採対策との両立方法、面接での経験の語り方、教育委員会の名簿登録まで、元小学校教員の視点で整理した。
教員採用試験の「社会人枠」を、令和8年(2026年)実施の東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪府・大阪市の要項で比較。筆記が免除される型、10点加点の型、試験は一般と同じ型の3つに分かれる。必要な勤務年数(2〜5年)、正規職員に限るか、免許が無くても受けられるかまで一覧にした。
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教員採用試験の「共通化」(第一次選考の共同実施)を、文部科学省の資料と各自治体の公式ページで整理。2027年実施(令和10年度採用)から51自治体が共通問題を使い、筆記は5/8・6/12・7/10の3日程。出題数や時間、参加自治体と東京・神奈川など一覧にない自治体、併願の注意点までまとめた。
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