広島県・広島市の教員採用試験を受験しようとして、こんな混乱を抱えていないだろうか。
「小論文対策をやろうとして調べたら、廃止されたって書いてあった。じゃあ何を対策すればいいの?」 「広島県と広島市って別々の試験なの?」 「模擬授業ってどう準備したらいいかわからない」
広島県・広島市の試験は、2021年(令和3年度採用)から筆記試験が択一式に全面移行した。 論述式・小論文は廃止された。 にもかかわらず、ネット上には古い情報が残り続けており、誤った方向で準備を積んでしまう受験生が毎年出ている。
このページでは、現行試験の構造を整理した上で、筆記(択一)・面接・模擬授業それぞれの対策を、元教員の視点から具体的に解説する。 最新の実施要項は広島県教育委員会・広島市教育委員会の公式サイトで必ず確認することを前提に、読み進んでほしい。
令和9年度の実施要項には、この選考試験を「広島県教育委員会と広島市教育委員会が共同して行います」と明記されている。 受験するのは1つの試験で、県と市に別々に出願するわけではない。
勤務先は異なる。 広島県の名簿に登載されれば県立・各市町村立学校(広島市立を除く)に、広島市の名簿に登載されれば広島市立学校に勤務する。
ここで、受験する前に必ず知っておきたい規定がある。 実施要項には次のように書かれている。
広島県及び広島市の各採用見込人員の3割の範囲内においては、受験者の採用希望先である広島県又は広島市の希望を尊重します。なお、それ以外の場合においては、広島県の希望者が広島市教育委員会の採用候補者名簿に、広島市の希望者が広島県教育委員会の採用候補者名簿に登載されることがあります。
つまり、採用希望先を出すことはできるが、希望が尊重されるのは採用見込人員の3割の範囲内で、 それを超えた場合は希望と逆側の名簿に登載されることがある、ということだ。
「広島市の平和教育に関わりたいから広島市を志望した」という受験者が、広島県の名簿に載る可能性は現実にある。 面接で志望動機を語るときも、片方だけしか受け入れられないという立て方は避けたほうがいい。 自分が広島でやりたいことを軸にしつつ、県・市どちらに配属されても力を尽くす姿勢を示せる準備をしておきたい。
最新の出願要領は広島県教育委員会・広島市の公式サイトで確認してほしい。
| 選考段階 | 実施内容 |
|---|---|
| 第1次選考 | 教職に関する専門教育科目(50点)・教科に関する専門教育科目(200点)※いずれも択一式 |
| 第2次選考 | 教科等実技(該当校種・教科のみ)・模擬授業面接・個人面接(1人につき1回) |
第2次選考について、よく誤解されている点が2つある。
1つは集団面接・集団討論だ。 令和9年度の実施要項には、集団面接・集団討論という試験項目の記載がない。 第2次選考の項目として明記されているのは、上の表の3つだけだ。
もう1つが**「模擬授業面接」という名称で、これは模擬授業と面接が別々にあるのではなく、 当日提示される資料に沿って学習指導案を作成し、児童生徒を想定した授業若しくは場面指導**を行った後、 そのまま個人面接に入る——という一続きの試験項目になっている。 これとは別に単独の「個人面接」が1回あるため、面接の場面は実質2回ある。
詳しい攻略法は広島県・広島市 教員採用試験 面接対策にまとめた。
1次・2次ともに内容・形式は年度により変更される可能性があるため、受験年度の公式実施要項を必ず確認すること。
広島県・広島市の教員採用試験では、2020年度まで論述式(小論文)が課されていた。 2021年度採用試験(令和3年度)から、筆記試験が択一式に全面移行し、論述式・小論文は廃止された。
この転換の背景には、広島県が2019年前後から進めてきた試験改革がある。 受験者の裾野を広げ、多様な人材を確保するために、記述式・小論文のハードルを下げる方向での見直しが行われた。 また、採点のコストや客観性の確保という観点も、択一式移行の理由に挙げられている。
つまり、広島県・広島市の受験者が今から小論文の練習に時間を集中投下することは、対策の方向として誤りだ。
ただし、この判断には一つ補足がある。 面接では「あなたの教育観を具体的に話してください」という問いが必ず来る。 自分の考えを整理し、言語化する訓練として小論文を書くことは、面接対策としての意味を持つ。 小論文という「形式」の対策は不要だが、「教育観を言葉にする練習」は続けてよい。
広島県教育委員会は、以下のような資質・能力を持つ教員を求めている(公式情報をもとに整理)。
使命感・責任感・教育的愛情 子どもたちの成長に真剣に向き合い、教員という仕事の社会的意義を理解している。
専門職としての高度な知識・技能 担当教科の専門性に加え、学習指導・生徒指導・学級経営の実践力を持っている。
総合的な人間力 コミュニケーション力・協働力・自己研鑽する姿勢を持ち、保護者・地域・同僚と連携できる。
広島市教育委員会が掲げる「求める教職員像」は、広島県の方向性に加えて、いくつかの固有の視点が加わる。
本質や根源を探究し、論理的・主体的に考え行動する力 授業の改善、課題解決、自己研鑽において、思考停止しない姿勢が求められている。
平和を希求する心を持ち、多様な人々とともに生きる共生社会の構築に寄与する力 広島市は原爆投下の被爆地として、平和教育において全国でも特別な位置を占める。 この視点は広島市の採用試験において「教員に求める資質」として明文化されており、面接でも問われることがある。
広島市教育大綱「学びの変革」の実現者 「自分で考え、自分で選択・決断し、自分で人生を切り拓く力」を育む教育観を持つ教員が求められている。
この「求める教員像」は、面接での評価軸と直結している。 面接官は「この受験者は広島(または広島市)の教育が目指すものを理解しているか」を見ている。
広島市を受験する場合は、事前に「広島市教育大綱『学びの変革』アクションプラン」を一読しておくことを強く推奨する。 広島市教育委員会の公式サイトから無料でPDFを入手できる。 面接で「広島市の教育について知っていること」を問われたとき、この施策を自分の言葉で語れるかどうかが差になる。
教職教養は、教育に関する法律・教育心理・学習指導要領・教育史・教育原理など、広範な分野から出題される。 広島県・広島市の択一式教職教養は、以下の分野の出題頻度が高い傾向にある。
| 分野 | ポイント |
|---|---|
| 教育法規 | 教育基本法・学校教育法・教育公務員特例法から頻出。条文の正確な理解が必要 |
| 学習指導要領 | 各校種の目標・構成・評価の3観点を中心に整理する |
| 教育心理 | 発達理論・学習理論・認知心理学の基礎概念(ピアジェ・ヴィゴツキーなど) |
| 教育原理 | 主体的・対話的で深い学び、個別最適な学び、インクルーシブ教育 |
| 特別支援教育 | 発達障害の特性・合理的配慮・通級指導教室の仕組み |
| 生徒指導 | いじめ防止対策推進法・生徒指導提要(2022年改訂版)の内容 |
特に、2022年に大幅改訂された「生徒指導提要」は、いじめ・不登校・校則の見直しなどが体系的に整理されており、近年の試験で頻出傾向がある。 改訂版は文部科学省の公式サイトから無料でPDFを入手できるため、必ず目を通しておきたい。
専門教養は、受験する校種・教科によって出題内容が大きく異なる。 以下の点を踏まえた上で準備を進めてほしい。
出題の深さを確認する 広島県の専門教養は、大学受験レベル〜教職専門レベルの問題が混在する。 過去問(広島県教育委員会の公式サイトまたは協同出版の過去問集)で出題の難易度と傾向を確認し、重点分野を絞ることが効率的だ。
学習指導要領との接続を意識する 専門教養の問題も、「この内容を学習指導要領のどの位置づけで教えるか」という文脈で出題されることがある。 教科の専門知識と学習指導要領の目標を紐づけて理解しておくと、両方の対策になる。
近年の教育動向との接点 生成AI・デジタル教材・探究的な学習など、近年の教育動向が専門教養にも絡む出題が増えている。 教科の知識だけでなく、「この教科をどう教えるか」という指導法の視点を持つことが重要だ。
択一試験の対策は、「過去問→弱点把握→インプット→再演習」のサイクルを回すことが基本だ。
第一段階:過去問で全体像をつかむ(試験6ヶ月前〜) 最初から参考書を読み込むより、過去問から始めた方が効率が良い。 どの分野が頻出で、どの分野が手薄かを把握してから、参考書・テキストで補完する順序が推奨される。
第二段階:弱点分野の集中インプット(試験4〜2ヶ月前) 教職教養の弱点分野(法規・心理など)は、教採専用の参考書で体系的に整理する。 専門教養の弱点分野は、大学の教科書・教採専用問題集・過去問の解説を組み合わせてカバーする。
第三段階:模擬試験と時間管理の習熟(試験1ヶ月前〜) 実際の試験時間を想定して過去問を解く練習を行う。 択一試験は時間内に全問解き切ることが前提になるため、問題を見て「わかる/わからない」を素早く判断して先に進む感覚を養う必要がある。
第2次選考の個人面接は、受験者の教育観・人物・実践イメージを総合的に評価する場だ。 広島県・広島市の個人面接では、以下のような観点から質問が来ることが多い。
「広島県(または広島市)ならではの質問」を想定した準備が、他の自治体からの使い回しと差別化できるポイントだ。
面接で「この受験生は合格圏だ」と思われる答え方には、共通した構造がある。
結論 → 根拠(経験) → 具体的な行動 → 子どもへの影響
たとえば「不登校の子どもにどう対応しますか?」という問いに対して、
「まず、その子の状態に合わせた関わり方を模索することを大切にします(結論)。 教育実習のとき、教室に入れない子がいた経験があります(根拠・経験)。 担任の先生が毎朝電話でその子の声を聞き、保健室登校から学級参加へと段階を踏んでいた姿を見て、段階的なアプローチの重要性を実感しました(具体的な行動)。 自分のペースで関係を築けた子は、少しずつ教室に戻っていける。その積み重ねが自己肯定感につながると思っています(子どもへの影響)。」
この構造で答えられる受験者は、採点者に「経験から考えられる人」という印象を与える。
広島市の面接では、「平和教育」「学びの変革」という固有のキーワードが問われることがある。
平和教育について聞かれた場合 「平和の大切さを教えます」という抽象論では評価されない。 「広島の子どもたちに平和教育を施すとき、具体的にどんな授業・活動を作りたいか」まで語れることが求められる。 被爆体験継承の現代的な課題(証言者の高齢化・次世代への伝え方)に触れた上で、自分ならどう授業に落とし込むかを準備しておきたい。
「学びの変革」について聞かれた場合 「自分で考え、自分で選択・決断し、自分で人生を切り拓く力」——これが広島市教育大綱のキーワードだ。 「それを育てるために、担任として何をするか」を、学級経営・授業・生徒指導のそれぞれの場面で語れるようにしておく。
面接は一人で準備できる量に限界がある。 以下のいずれかの手段で、「実際に声に出して答える練習」を積む必要がある。
録画して見返す方法は、「自分の話し方の癖」「視線」「言葉のつかえ方」を客観的に把握できるため、特に独学者に有効だ。
令和9年度の実施要項では、第2次選考の試験項目として「個人面接」が独立して置かれており、受験者1人につき1回実施される。 このほかに後述の「模擬授業面接」の中でも面接があるため、面接の場面は実質2回あることになる。
実施要項に示されている個人面接の主な評価項目は、次の3つだ。
3つを並べると、教科の力量ではなく「人としてどう働くか」を見ている項目だとわかる。 特に3つ目の「組織の中で自己の役割を認識し」は、学校がチームで動く職場であることを踏まえた観点だ。 自分1人で完結する話ではなく、同僚・管理職・地域とどう関わるかまで語れる準備をしておきたい。
広島県・広島市の2次試験について「集団面接」「集団討論」があると書いている情報を見かけることがあるが、 令和9年度の実施要項には、集団面接・集団討論という試験項目の記載がない。 第2次選考の項目として明記されているのは、教科等実技・模擬授業面接・個人面接の3つだけだ。
存在しない試験の準備に時間を割いてしまうと、本来やるべき模擬授業面接の練習量が削られる。 自分が受験する年度の実施要項を必ず自分の目で確認してほしい。
個人面接の想定質問と回答の組み立て、県と市で異なる「求められる教職員像」の使い分けは、 広島県・広島市 教員採用試験 面接対策に詳しくまとめた。
広島県・広島市の第2次選考では、模擬授業は「模擬授業面接」という1つの試験項目として実施される。 当日提示される資料に沿って学習指導案を作成し、児童生徒を想定した授業若しくは場面指導を行った後、そのまま個人面接に入る形式だ。 指導案の作成時間や実演時間について、実施要項に具体的な分数の記載はない。 「◯分」という情報を見かけても鵜呑みにせず、受験年度の実施要項と当日の指示に従ってほしい。
模擬授業では「教えられること」だけでなく、「子どもとのやり取りのイメージを持って授業を設計しているか」が評価される。 面接官を「生徒役」として実演することが多いが、架空の子どもを想定して語りかける姿勢が自然に出ているかどうかも見られる。
1. 授業の「つかみ」が機能しているか 最初の1〜2分で子どもの関心を引けているか。 「今日はこういうことを考えてほしい」という問いを明確に提示できているか。
2. 子どもの反応を想定した語りかけができているか 「〜と思う人はいますか?」「〜だとしたら、どうなると思いますか?」 一方的に説明するだけでなく、子どもが考える余白を作る発問が入っているか。
3. 板書・資料の使い方が整理されているか 板書計画(どの段階で何を書くか)を事前に設計しているか。 字が読みやすいか、情報の優先順位が視覚的に整理されているか。
4. 授業の流れが「導入→展開→まとめ」で設計されているか 5〜10分という短い時間でも、「この授業で子どもたちに何を持ち帰ってほしいか」というゴールが明確か。
5. 教員としての声・姿勢・存在感 子どもに向き合う視線、声のトーン、話すスピード。 「この人の授業を毎日受けたい」と思えるような存在感があるか。
模擬授業は「何度もやってみる」以外に上達の方法がない。
ステップ1:指導案を書く(5〜10分版) 本番の授業時間に合わせた略案を複数テーマで用意する。 「この時間でどこまで教えるか」という授業の切り取り方が設計の核心だ。
ステップ2:一人で実演する(録画) 鏡の前または自分を録画して実演する。 声・視線・板書の順序を客観的に確認する。
ステップ3:人を前にして実演する 友人・家族・勉強仲間を「生徒役」にして実演する。 「伝わっているか」を確認できるのは、人相手の実演だけだ。
ステップ4:フィードバックを反映して作り直す 「どこで聴衆の集中が途切れたか」「発問に答えられる時間があったか」を聞いて、構成を修正する。
授業準備と並行して、「面接での教育観の言語化」の練習も続けることが重要だ。 教育観を言葉にする訓練として論作AIでの添削練習を活用している受験者も多い。 自分の書いた文章に対するフィードバックを通じて、「自分の考えのどこが薄いか」を早期に把握できる。
広島市教育委員会が掲げる「学びの変革」アクションプランは、広島市の教育の根幹をなすビジョンだ。
キーコンセプト 「自分で考え、自分で選択・決断し、自分で人生を切り拓く力」を育む教育
このビジョンは抽象的に聞こえるが、授業レベルで言えば「教員が答えを教えるのではなく、子どもが探究するプロセスを設計する授業」を意味する。 発問・グループワーク・振り返りの設計において、「子どもの主体性を引き出す仕掛け」があるかどうかが問われる。
面接・模擬授業の両方で、このビジョンが問われる可能性があるため、自分の言葉で説明できるように準備しておく。
広島県全体の教育施策の方向性は、「広島県教育振興基本計画」に示されている。 直近の計画では、以下の方向性が重点として掲げられている。
面接で「広島県の教育施策について知っていることを教えてください」と問われることがある。 「聞いたことがない」という状態を避けるため、公式サイトで計画の概要版に目を通しておくことを推奨する。
広島県・広島市の全公立学校では、一人一台端末の整備が完了している。 面接では「ICTを活用した授業をどう設計するか」という具体的な質問が来ることがある。
評価される答えは「どのツールを使うか」ではなく、「ICTを使うことで、どの子どもにどんな学びが生まれるか」だ。 端末を「全員一斉に同じ課題をやらせる道具」として使うのではなく、「一人ひとりの理解状況を把握し、個別に対応するための道具」として活用するイメージを語れることが求められる。
2018年7月の西日本豪雨は、広島県に甚大な被害をもたらした。 多くの児童生徒が被害を受け、学校が避難場所として機能し、地域と学校の結びつきが改めて問われた災害だった。 広島市・呉市・東広島市などでは、今もこの経験が防災教育の文脈として生き続けている。
この事実が面接や討論で問われることは決して少なくない。 「防災教育をどう実践するか」「地域と連携した学校教育の意義」「子どもたちに危機に備える力をどう育てるか」——これらは、広島の学校で働く教員にとって実践的な問いだ。
「学校で防災教育を実践するとしたら、どんな授業をしますか?」という問いに対して、広島の文脈を踏まえた答え方を準備しておきたい。
評価される答えの方向
「広島で教員になる」という意思決定をした受験者として、この地域特有の文脈を理解していることは、面接官に「この人は本当に広島で教えたいんだ」という印象を与える。
西日本豪雨の経験は、「学校は地域のセーフティネットの一部である」という意識を広島の教育界に深く根づかせた。 保護者・地域住民・自治体との連携、コミュニティスクールの重要性——これらのテーマが面接・討論で出てきたとき、「広島の文脈」を踏まえた発言ができると深みが増す。
広島県・広島市の第2次選考は、教科等実技・模擬授業面接・個人面接という同じ枠組みで実施されるが、面接官が受験者に見ようとしている中身は校種ごとに違う。 「求める教員像」「学びの変革」「平和教育・被爆体験継承」「防災教育・地域連携」という広島固有のテーマを、自分が受ける校種の現場に落とし込んで語れるかどうかで、答えの厚みが変わってくる。 校種別に実際にどんな質問が出たかという公式データは公開されていないため、ここでは求める教員像の記述と現場実務から見えてくる、校種ごとの角度の違いを整理する。
小学校は学級担任制のため、面接官は「一人の担任として、教科も生活も丸ごと見られるか」という視点で聞いてくる。 「学びの変革」の「自分で考え、自分で選択・決断する力」というキーワードも、小学校では教科横断で語る必要がある。 算数の授業で解き方を子どもに選ばせる場面、係活動を子ども自身が企画する場面など、日々の学級経営の中に主体性を育てる仕掛けをどう組み込むかを、抽象論ではなく授業・学級の具体場面で答えられるかが見られている。
被爆体験継承についても、小学校では発達段階への配慮が問われやすい。 低学年にそのまま史実を伝えるのではなく、絵本や地域の平和資料館との連携など、子どもが受け止められる形に翻訳する視点を持っているかどうかが差になる。 模擬授業面接では場面指導が課される可能性があるため、いじめ・不登校・保護者対応など学級経営に直結する場面を想定しておきたい。教育実習やボランティアで担任を間近に見た経験を根拠に語れると説得力が増す。
中学校は教科担任制であり、面接官は「専門教科の力」と「思春期の生徒への向き合い方」の両方を見ている。 広島市を受験する場合、平和教育は社会科・総合的な学習の時間・修学旅行の平和学習と結びつけて語れると、教科指導と生徒指導の両輪で答えている印象を与えやすい。 被爆体験継承の担い手が減っている現状を踏まえ、証言に頼らない形での平和学習をどう設計するかという問いは、中学校段階では特に現実味を持って響く。
「学びの変革」は、中学校では進路選択との接続で語ると自然だ。 高校受験という節目を控えた生徒に対して「自分で選択・決断する力」をどう育てるかは、進路指導・キャリア教育の文脈と直結する。 場面指導ではSNSトラブルや部活動を含めた生徒指導の場面が想定されるため、教科の専門性だけでなく生徒との距離の取り方まで語れる準備をしておきたい。
高校では、教科の専門性への質問がより深く踏み込んでくる傾向がある。 面接官は「この教科の専門家として、生徒の進路や将来にどう関わるか」を見ており、「学びの変革」の「自分で人生を切り拓く力」というキーワードは、高校段階では進路選択・自己実現と直結する形で問われやすい。 「自分で選択・決断する力を、進路指導の場面でどう育てるか」という問いへの答えを、教科指導とは別に用意しておく必要がある。
平和教育についても、高校では公民科・歴史科の学習内容と接続した、より深い議論が求められることがある。 被爆の史実だけでなく、現代の国際情勢や平和の在り方まで踏み込んで考えを聞かれる可能性を想定しておきたい。 個人面接では主権者教育や社会的なテーマに触れる問いもありうるため、教育ニュースだけでなく社会全体の動きへの関心も準備の一部になる。
特別支援学校では、面接官は「一人ひとりの実態に応じた指導ができるか」という個別対応力を重点的に見てくる。 「学びの変革」の「自分で選択・決断する」というキーワードは、特別支援学校の文脈では意思決定支援・自己選択の機会保障という形で語り直す必要がある。 コミュニケーション手段や理解度が一人ひとり異なる子どもに対して、どう選択の機会を保障し、どう本人の意思を確認するかという具体性が問われやすい。
防災教育についても、特別支援学校では「配慮を要する子どもをどう安全に避難させるか」という角度で問われることがある。 西日本豪雨の経験を踏まえた地域連携の視点に加えて、個別の避難支援計画・医療的ケアが必要な子どもへの対応まで含めて考えを持っておくと、他の受験者との違いが出やすい。 自立活動の視点と、広島が掲げる「主体性を育てる」という方向性を、どうつなげて語るかが評価の分かれ目になる。
養護教諭は保健室という独自の立場から学校全体を見る職種であり、面接官は「担任ではない立場から、子どもの心身の変化にどう気づき、どうつなぐか」を見ている。 いじめ・不登校の早期発見、保健室登校の子どもへの関わり方、学級担任・保護者・スクールカウンセラーとの連携の取り方など、養護教諭固有の職務に即した質問が来やすい。 「自分で考え、自分で選択・決断する力」というキーワードも、養護教諭の立場では「自分の体調や心の変化に気づき、自分で助けを求められる力を育てる保健指導」として語り直せると、抽象論に終わらない答えになる。
防災教育の文脈では、養護教諭は避難時の医療的配慮・応急手当・心のケアという角度で問われることがある。 西日本豪雨の際に学校が避難所として機能した経験を踏まえ、健康管理の専門職として災害時にどう動くかを考えておくと、実務に根ざした答えになる。
栄養教諭は、食育・地場産物の活用・アレルギー対応など、給食と食に関する専門性を軸に評価される。 面接官は「栄養の専門知識を、子どもの学びにどう結びつけられるか」を見ており、単なる献立管理者ではなく、食を通じて子どもの主体性を育てる立場として語れるかどうかが問われやすい。 「学びの変革」のキーワードは栄養教諭の実務からはやや遠いが、「子どもが自分の食生活を自分で選び、考えられる力を育てる食育」という形に翻訳して語ると、広島の方向性と自分の専門性をつなげられる。
防災教育についても、栄養教諭ならではの角度がある。 非常食の備蓄・アレルギー対応を踏まえた災害時の給食提供など、危機管理の専門性を絡めて答えられると、他の受験者と違う実務的な深みが出る。 校種別の実際の出題傾向は公表されていないため、これらはあくまで職務の性質から導かれる想定であることは念頭に置いておきたい。
広島県・広島市の採用試験は小論文が廃止されているため、参考書の優先順位も変わる。 まず面接・討論の対策書に投資することを推奨する。
広島県・広島市の過去問を収録した専用問題集が、協同出版から出版されている。 「広島県・広島市の教員採用試験過去問シリーズ」で書店・通販から入手できる。 択一試験の過去問だけでなく、面接の頻出質問傾向も収録されているため、試験全体の把握に役立つ。
広島の試験では小論文は出題されない。 しかし、面接で「あなたはどんな教育観を持っているか」「不登校の子にどう向き合うか」「ICTをどう授業に活かすか」という問いが来たとき、即座に整理された言葉で答えられる受験者は、その前段として「自分の考えを文章で言語化した経験」を持っていることが多い。
論作AIの添削練習では、教育課題に対して自分の考えを800字程度でまとめる訓練ができる。 AIが「内容」「構成」「表現」「教員適性」の4観点でフィードバックを返してくれるため、「自分はどこが薄いか」を早期に把握できる。
広島受験者は、論作AI を「面接答案の下書きを作る練習の場」として使うのが実用的だ。 書いた文章が面接での話し言葉の骨格になる。
登録後3回は無料(クレジットカード登録不要)で使える。
2021年度採用試験(令和3年度)から、広島県・広島市ともに筆記試験が択一式に全面移行した。 論述式・小論文は廃止されており、現行の試験では出題されない。 ただし、試験制度は年度ごとに変更される可能性があるため、受験年度の公式実施要項で必ず確認すること。
できない。 広島県と広島市は「広島県・広島市公立学校教員採用候補者選考試験」として合同で実施される同一の試験で、出願時にどちらの採用を志望するかを選択する方式だ。 採用後の勤務先は、広島県採用なら県立・各市町村立学校(広島市立除く)、広島市採用なら広島市立学校になる。 志望区分の詳細・例外は必ず最新の出願要領で確認してほしい。
2次試験の約3〜4ヶ月前から準備を始めることを推奨する。 指導案の作成→一人での実演→人相手での実演→フィードバック→修正というサイクルを最低3〜5回は回したい。 1次合格後に模擬授業の準備を始めるのは、時間的に厳しい。
まず広島市教育大綱「学びの変革」アクションプランを事前に読んでおくことが前提だ。 「子どもが自分で考え、選択・決断できる力を育てること」というビジョンを自分の言葉で説明し、それを実現するために「自分は授業でどんな工夫をするか」という具体的な話に接続できると、採点者に「広島市を理解して受験している」という印象を与えられる。
広島の模擬授業面接は、当日提示される資料に沿って、授業若しくは場面指導を行う形式だ。 どちらが課されるかは当日までわからないため、両方を想定しておく必要がある。
場面指導で詰まる原因は、たいてい「何を言うか」ではなく「誰に向かって言うか」が定まっていないことにある。 子どもが目の前にいるつもりで、視線の高さ・声のかけ方まで含めて声に出す練習を繰り返してほしい。
いじめ・不登校・保護者対応・SNSトラブルといった頻出の場面について、 「最初の一言」「相手の話をどう聞くか」「どこで組織につなぐか」の3点を自分の言葉で用意しておくと、 当日どの場面が来ても土台が崩れない。
具体的な場面別の対応は教員採用試験 場面指導 完全攻略ガイドにまとめてある。
広島県・広島市の教員採用試験は、2021年から択一式に全面移行した。 小論文は廃止されており、現行試験では出題されない。
現行試験の攻略に必要なことは3つに整理できる。
1. 択一筆記で確実に1次を突破する 教職教養(法規・心理・学習指導要領・生徒指導提要)と専門教養の両方を、過去問ベースで効率的に対策する。 1次を通過しないと2次の面接・模擬授業を受ける機会すら来ない。
2. 面接で広島の教育を「自分の言葉」で語れる状態を作る 「求める教員像」「広島市学びの変革」「GIGAスクール・ICT活用」「防災教育・地域連携」——これらを抽象論ではなく、「自分がどう実践するか」という具体的な語りに変換できているかどうかが合否を分ける。
3. 模擬授業を「見せられる状態」まで仕上げる 何度も実演を繰り返し、フィードバックを受けて修正するサイクルを回す。 「本番が初めての実演」という状態で臨む受験者は、ほぼ例外なく評価が低い。
広島市を受験する場合は、「平和教育・多文化共生・学びの変革」という固有の文脈への理解を面接で示せることが、他の受験者との差になる。
関連記事として、福岡市 教員採用試験 小論文対策では政令指定都市ならではの試験の特徴を解説している。 また、教員採用試験の面接対策の基礎は教員採用試験の面接対策 総合ガイドにまとめている。 他の中国・四国エリアの対策記事は教員採用試験 自治体別対策一覧から探せる。
広島県・広島市で教員を目指すあなたを、心から応援している。
石川県教採は1次・2次の区分なし。筆記(7/18)→面接・模擬授業(8/1〜2)の二段階構成。総合教養内の300字小論文の対策から、能登復興テーマの面接準備、模擬授業の組み立て方まで、後半選考で必要なことを元教員視点でまとめた。
千葉県教採の二次対策(個別面接・模擬授業)を元教員視点で解説。千葉県・千葉市合同実施の構造、都市部と房総半島の二面性、頻出質問への答え方まで具体例で網羅。
宮崎県教採の二次試験完全ガイド。個人面接の頻出質問・模擬授業の組み立て方・グループワークの立ち回り・宮崎独自の教育コンテキストまで、元小学校教員が実務的に解説。宮崎県は論作文(小論文)を実施していません。
合格に必要なテーマ・自治体・用語を、ハブページからまとめて辿れます。