教員採用試験の2次に合格すると、その後はどうなるのか。多くの自治体の要項では、2次の「合格」は「採用候補者名簿に登載される」ことを指す。名簿の有効期間は、原則1年だ。
では、名簿に載った人は採用されるのか。神奈川県と千葉県は、名簿登載者を原則として全員採用していると要項に書いている。ただし、免許状を取得できない場合や、必要な書類を出さない場合などは採用されない。大阪府のように、合格は直ちに採用を意味しないと明記している自治体もある。
この記事は、令和9年度採用(令和8年・2026年実施)の要項をもとに、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(千葉市を含む)・愛知県・大阪府・大阪市の合格後の流れを整理したものだ。制度は毎年変わる。受験する年の最新の要項で、必ず確認してほしい。
なお、要項で確認できなかったことは、確認できなかったと書く。
令和8年実施の2次試験の結果発表日は、次のとおりだ。
| 自治体 | 2次の結果発表 | 出典 |
|---|---|---|
| 愛知県 | 8月28日(金) | 受験案内 p5 |
| 神奈川県 | 9月17日(木)午前10時 | 実施要項 p12 |
| 大阪府 | 9月25日(金)予定 | 受験案内 p27 |
| 東京都 | 9月30日(水)午前10時(最終合否) | 実施要綱 p26 |
| 埼玉県 | 9月30日(水) | 要項 p32 |
| 千葉県・千葉市 | 9月下旬から10月上旬 | 要項 p15 |
| 大阪市 | 確認できなかった | — |
出典ページは、各自治体の要項PDFのページ番号だ。大阪市の2次の結果発表日は、今回読んだ範囲では確認できなかった。
結果の伝え方も自治体で違う。愛知県は郵送とWebページ、神奈川県はホームページと郵送、埼玉県は合格者の受験番号をホームページに掲載したうえで、結果通知を電子申請・届出サービスで全員に出す。東京都は合格者とともに、期限付任用教員採用候補者名簿の登載者の受験番号も掲載する。
要項で確認できた名簿の有効期間は、次のとおりだ。
神奈川県と大阪府の要項には、名簿の期間を明示した文言を、今回の範囲では確認していない。ただし大阪府は、令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に採用を決定すると書いている。
「合格したのに採用されない」という検索は多い。要項にどう書かれているかを、そのまま見ていく。
神奈川県のQ&A(p19)のQ19は、次のとおりだ。
「採用候補者名簿登載者は、全員採用となるのですか」
「採用候補者名簿に登載され、神奈川県に就職を希望する意向を示した方は、原則として全員が採用されます。ただし、必要とされる免許状が取得できない場合や受験資格の要件が満たされない場合、必要な書類が提出されない場合、また、わいせつ行為等の教員としての適格性を欠く事実が明らかになった場合などは採用されません」
千葉県・千葉市の要項(p16)には、次の記述がある。
「名簿に登載されたことをもって直ちに採用されることにはなりませんが、ここ数年、『教育職員免許状が取得できなかった』、『採用志願に当たり虚偽又は不正の行為をした』、『教員に必要な適格性を欠くことが明らかとなった』等の事情がない限り、名簿登載者全員を採用しています。」
大阪府の受験案内(p27)は、「合格」の意味を次のように定義している。
「『合格』とは、大阪府教育委員会が定める一定の基準に達したと判定されたことを意味します(第2次選考で『合格』した場合であっても、直ちに採用を意味するものではありません。)」
そのうえで大阪府は、資格要件等を確認した後、学校の欠員状況等を考慮し、令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に採用を決定すると書いている(p29)。
東京都(p27)は、採用は原則として令和9年4月1日付けとし、区市町村教育委員会または都立学校での面談等、所定の手続を経て採用を決定すると書く。欠員状況により、意向確認のうえ4月1日より前に採用する場合もある。
整理すると、次のとおりだ。要項の言葉は自治体ごとに違うが、少なくとも神奈川県と千葉県は、名簿登載者を原則全員採用していると書いている。大阪府は、欠員状況等を考慮して採用を決めると書く。確認していない自治体の運用は、この記事からは言えない。「合格=採用確定」とも、「合格しても採用されないことがよくある」とも言えないというのが、要項から読める範囲だ。
要項に書かれている、名簿から削除される、または採用されない場合を並べる。
| 事情 | 要項に書かれている自治体 |
|---|---|
| 令和9年3月31日までに免許状を取得できない | 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県 |
| 資格や受験資格の要件を欠く | 東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府 |
| 虚偽、経歴の詐称 | 東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府 |
| 適格性(適性)を欠く | 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県 |
| 必要書類を期日までに出さない | 神奈川県・千葉県 |
| 照会に応じない | 東京都・千葉県 |
| 正当な理由なく紹介先を辞退した | 東京都 |
この表は、要項の記述を編集部がまとめたものだ。細かい条件は自治体ごとに異なるので、受験した自治体の原文で確認してほしい。
東京都は、名簿から削除する場合として、正規採用となった場合、「正当な理由がなく、紹介先を辞退した場合」、「正当な理由がなく、照会に応答しない場合」などを挙げている(p27)。千葉県は、令和9年3月31日までに免許状が取れない場合、照会に応じない場合、必要書類が期日までに届かない場合に、名簿登載を取り消すと書く(p16)。
東京都、埼玉県の要項には、こども性暴力防止法に基づく犯罪事実確認の手続についての記述もある。令和8年12月25日施行予定の法律に基づく手続で、東京都は戸籍等を提出せず犯罪事実確認書が交付されない場合、配属先の紹介ができないことがあると書き、埼玉県は手続に対応しない場合を、名簿から削除し採用しない場合の一つに挙げている。詳しい内容は、各自治体の要項を確認してほしい。
要項から拾える、合格後の手続は次のとおりだ。自治体によって、あるものとないものがある。
大阪府では、市町村立の小中学校・義務教育学校に配属される人は、市町村教育委員会のオリエンテーションがあるが、出席できなくても採用には影響しないと書かれている(p29)。配属先の学校がいつ決まるかは、東京都の面談等以外は、確認できなかった。
「補欠合格」は、愛知県の制度として要項に書かれている。今回確認した7自治体の要項で、「補欠」という語が出てきたのは愛知県だけだった。
愛知県の受験案内(p29)では、2次試験の結果が「合格」と「補欠」に分かれる。
補欠者の繰り上げの人数や時期は、確認した要項には書かれていない。この記事でも書かない。
補欠になった人は、翌年の「昨年度の補欠者に対する特別選考」の出願資格を持つ(p29)。この特別選考(p9)では、第1次試験のすべてが免除される。第2次は個人面接と、一部の実技だ。前年に「補欠」だった人が、同一の受験区分・教科で受験する。
ただし、「補欠」を辞退した人は除かれる。補欠を辞退すると、翌年の補欠者特別選考の対象にはならない。この点は、要項に書かれている事実だ。
他の自治体には、不合格者のうち成績上位の人を、期限を区切った教員や講師の候補として載せる名簿がある。次の節で見る東京都の期限付任用教員採用候補者名簿や、千葉県の特別臨時的任用教諭の候補者名簿だ。これらは不合格者のうち成績上位の人が載る別の仕組みで、愛知県の「補欠」と同じものではない。名前が似ていても、制度は別だと理解しておきたい。
愛知県の2次試験そのものの対策は、【2026年版】愛知県教員採用試験 二次選考の全対策|個人面接15分×2回(7/18)を元教員が解説で扱っている。
2次で不合格だった場合でも、成績上位の人が載る名簿や、翌年の特別選考がある自治体がある。
東京都は、不合格者のうち成績上位で希望する人を、期限付任用教員採用候補者名簿に登載する(p28)。期間は令和9年4月1日から令和10年3月31日で、令和9年5月1日以降は臨時的任用教員採用候補者名簿にも登載される。希望の有無は申込時に選ぶもので、合否には影響しない。
期限付任用教員は、年度当初の病気休職・退職・学級増等の欠員があるときに勤務する。勤務内容は正規教員と同様で、学級担任や校務分掌も担う。任用は最長1年(6か月以内+1回更新)で、欠員状況によっては任用されない場合もある。希望すれば、ランク(Ⅰ〜Ⅲ)が通知される(p26)。
東京都の2次試験対策は、【2026年版】東京都教員採用試験 二次試験の全対策|面接票・個人面接・場面想定問答を元教員が解説にまとめている。
千葉県・千葉市は、2次の不合格者のうち成績上位の人を、「特別臨時的任用教諭」候補者名簿に登載する(p15)。不合格者には、次年度の講師としての勤務希望の調査票が同封される。
神奈川県は、第2次不合格者のうち成績上位の人を、翌年(令和9年度実施)の特別選考②「前年度試験実績者」の対象とする(p12)。この特別選考では、一般教養・教職専門と教科専門が免除され、論文は受ける(p9の表)。さらに、小学校区分と特別支援学校区分では、希望者を優先的に臨時的任用職員として任用すると書かれている。
落ちた翌年に何ができるのかは、教員採用試験に落ちた翌年に合格する4つのルート【元教員が解説】で整理している。講師として働くかどうか、特別選考を使うかどうかは、受験する自治体の要項で条件を確認してから決めたい。
「合格したが辞退したい」「辞退はいつまでにすればよいか」。検索の多い疑問だが、要項から確実に言えることは限られる。
大学院進学以外の理由での辞退や、他の自治体との併願で辞退する場合の手続き・期限は、確認した要項には書かれていない。合格した自治体の教育委員会に確認してほしい。
辞退したときの扱いについて、要項にあるのは次のような記述だ。
これ以外のことは、要項からは言えない。辞退率も、確認できていない。
要項に手続が書かれているのは、大学院進学を理由とする場合だ。専修免許状を取得できる大学院への進学・在学が対象で、自治体ごとに制度が違う。
| 自治体 | 制度 | 期間・期限 |
|---|---|---|
| 東京都 | 名簿登載期間の延長(p27) | 専修免許状を取得できる大学院への進学・在学が対象。定められた修業年限(上限3年)で修了すること。留年・留学での延長は不可。名簿登載後に人事部選考課へ申請(手続は最終合否発表後にマイページで通知)。※特例選考⑥(社会人経験者)で申込時に希望した、免許取得のための延長は別の制度 |
| 神奈川県 | 採用期日の延期(p13) | 進学者2年、修学継続者1年が上限。令和8年12月24日(木)までに合格通知書等を提出 |
| 埼玉県 | 登載猶予(p33) | 令和9年度修了で1年、令和10年度修了で2年。令和8年12月末日までに在学または進学が決定している人が対象。県教委の許可が必要 |
| 千葉県・千葉市 | 大学院猶予(p9) | 1年または2年(上限2年)。志願書への記入と本人の申請が必要。記入がないと、申請しても猶予は認められない |
| 大阪府 | 採用保留(p27) | 令和8年度進学は令和10年4月1日まで、令和9年度進学は令和11年4月1日まで。令和8年12月18日(金)までに申し出 |
| 愛知県 | 辞退届を出して辞退し、翌年以降の特別選考を受ける(p29) | 「大学院進学による採用辞退者に対する特別選考」。第2次の個人面接での選考。修業年限は最大3年。「補欠」だった人は対象外 |
| 大阪市 | 辞退届を出して辞退し、大学院進(在)学者対象選考を受ける(p2) | 前年度または前々年度に小学校・中学校に合格した人が対象。受験年度と校種教科は辞退届提出時に決定し、改めて自分で出願が必要 |
共通しているのは、期限内に修士の学位と専修免許状を取得しなければ資格を失う、という点だ。埼玉県は期限までに取得しなければ登載しないと書き、千葉県は修士の学位と同一の専修免許状の取得を条件とする。神奈川県も専修免許状の取得を条件とする。大阪市は、令和9年4月1日時点で有効な免許状を所有していないと、テストで得た一切の資格を失うと書く(p2)。
制度の種類が二つに分かれる点にも、注意したい。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府は、合格の資格を保ったまま採用や登載を後ろにずらす制度だ。愛知県と大阪市は、いったん辞退届を出して辞退し、後年の特別選考で受け直す制度になっている。
特に期限が厳しいのは、千葉県の志願書への記入だ。出願の時点で記入がなければ、合格後に申請しても猶予は認められない。大学院進学を考えている人は、出願の前に要項を確認しておく必要がある。
大学院進学を理由にした場合の翌年以降の扱いは、上の表のとおりだ。
それ以外の理由で辞退した場合に、翌年の受験でどう扱われるかは、確認した要項に書かれていなかった。ここで「不利になる」とも「ならない」とも断定はしない。気になる場合は、辞退する前に、受験した自治体の教育委員会に確認しておきたい。
複数の自治体に合格して、一つに絞る人もいるだろう。その場合の手続きや期限も、確認した要項には書かれていなかった。
ここまでの内容は要項に基づく整理だが、迷ったときの動き方は一般論として書いておく。
この手順の並べ方は編集部の考え方だ。根拠になる要項の記述は、それぞれの節で示したとおり。
不合格だった人は、翌年に向けて準備を始めることになる。特別選考で論文や面接がある場合も、筆記が免除されたからといって、準備が不要になるわけではない。
論作AIでは、論文の添削と面接の練習ができる。2次の面接で聞かれたことを振り返り、次の年の答えを作り直す練習に使ってもらえれば幸いだ。面接の準備の全体像は、【2026年最新】教員採用試験 面接対策|個人・集団・場面指導の頻出質問と回答例を完全解説にまとめている。2次試験全体の対策は、【2026年最新】教員採用試験 2次試験対策 完全ガイド|個人面接・集団討論・場面指導・実技・小論文を一気に攻略を参考にしてほしい。
年齢や受験資格を含めて翌年の計画を立てる人は、教員採用試験の年齢制限は何歳まで?|東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪の要項で比較【2026年実施版】、社会人から受ける人は教員採用試験の社会人枠とは|免除される試験・加点・必要な勤務年数を自治体別に比較【2026年実施版】、受験する自治体を選び直す人は教員採用試験 倍率・難易度ランキング【2026年最新】全国67自治体・校種別|受かりやすい県・難しい県の選び方も参照してほしい。
令和9年度採用(令和8年実施)の各自治体の要項・公式ページ。
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教員採用試験の2次試験対策を完全解説。個人面接・集団討論・場面指導・実技・2次小論文の種目別対策、東京・大阪・愛知など自治体別の試験形式比較、1次合格から本番までの3週間スケジュール、直前1週間でやるべきこと、2次で落ちる人の共通パターンまで、元教員の視点から徹底的に整理した。
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