ピアジェ認知発達理論とは|教採の教育心理で問われる4段階・保存の概念
ピアジェ認知発達理論とは|教採の教育心理で問われる4段階・保存の概念
教育心理の分野で、ピアジェとエリクソンは必ずセットで出てくる2人だ。
「エリクソン=心理社会的発達・8段階」 「ピアジェ=認知発達・4段階」
この対比はまず頭に入れておく。 その上で、4段階の内容と年齢を正確に押さえれば、試験の選択肢問題はかなり対応できる。
ピアジェとは
ジャン・ピアジェ(Jean Piaget, 1896-1980)。 スイスの発達心理学者・生物学者。 子どもの思考の発達を科学的に観察・記述した「認知発達理論」を構築した。
「子どもの認知は質的に発達する」という考え方が特徴で、「子どもは大人の縮小版ではなく、異なる思考の仕組みを持っている」と主張した。
エリクソンの発達理論(心理社会的発達)、フロイトの理論(精神分析的発達)と並び、3大発達段階説の一つとされる。
主要な概念
シェマ(スキーマ)
子どもが世界を認識するための「認知的な枠組み」のこと。 体験を積み重ねることでシェマは変化・成長していく。
同化と調節
- 同化: 新しい情報を既存のシェマに取り込むこと。「あれも犬だ、これも犬だ」という形で概念が広がる。
- 調節: 既存のシェマでは対応できない経験をして、シェマ自体を変えること。「これは犬じゃなくてネコだ」と気づいて分類を更新する。
この同化・調節の繰り返しによって、認知が発達していく。
保存の概念
形が変わっても、数や量・重さなどが変わらないことを理解する能力。 「細長いコップと太いコップに同じ量の水を入れると、細長い方が多く見えても量は同じ」ということを理解できるかどうか。
前操作期の子どもには保存の概念が備わっていないという点が教採で問われやすい。
認知発達の4段階
| 段階 | 時期 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 感覚運動期 | 0〜2歳頃 | 感覚と運動を通じて世界を探索。対象の永続性の獲得 |
| 前操作期 | 2〜7歳頃 | 象徴機能の発達。自己中心性。保存の概念なし |
| 具体的操作期 | 7〜11歳頃 | 具体的な物を通じた論理的思考。保存の概念の獲得 |
| 形式的操作期 | 11歳以降 | 抽象的・仮説的な思考が可能 |
感覚運動期(0〜2歳頃)
感覚(見る・触る・聞く)と運動(手を動かす・口に入れる)を通じて世界を認識する段階。
重要な発達: 対象の永続性(物の永続性)の獲得。 この段階の初期の子どもは、目の前から物が隠れると「ない」と思ってしまう。 発達が進むと「隠れても存在している」ことが理解できるようになる。
前操作期(2〜7歳頃)
言語や象徴機能(ままごと・見立て遊びなど)が発達する。 幼稚園〜小学校1年生頃が対応する。
自己中心性: 自分の視点と他者の視点を区別できず、自分の視点から世界を見てしまう傾向。 例: 「山の向こうから見ると山はどう見えるか」という問いに、自分が見た形で答えてしまう(三つ山課題)。
また、アニミズム(ぬいぐるみや植物にも心や意識がある、と感じる傾向)もこの段階の特徴。
保存の概念はまだない: 上述のコップの水の量の問題で、形の違いから量が違うと判断してしまう。
具体的操作期(7〜11歳頃)
小学校年代に対応する段階。
- 保存の概念の獲得: 形が変わっても量は変わらないことが理解できる
- 論理的思考: ただし「具体的な物」を対象とした場合に限られる
- 脱自己中心性: 他者の視点から物事を捉えられるようになる
- 分類・系列化: 物を大きさや色で分類したり、順番に並べたりできる
形式的操作期(11歳以降)
中学生以降に対応する段階。
- 仮説的思考: 「もしも〜だったら」という仮定に基づいた思考
- 抽象的な思考: 目の前にない概念(数学的概念・哲学的問い)について考えられる
教採での出題ポイント3つ
1. 各段階の名称と年齢の対応
「小学校年代にあたる段階はどれか」→具体的操作期(7〜11歳) 「前操作期の特徴として正しいものを選べ」→自己中心性・保存の概念なし・アニミズム
年齢の境目(特に「前操作期が2〜7歳」「具体的操作期が7〜11歳」)を正確に覚える。
2. 保存の概念の有無
「保存の概念を持っていない段階はどれか」→前操作期。 「保存の概念を獲得した段階はどれか」→具体的操作期。
この区別は頻出。「保存の概念とは何か」を具体的な例(コップの水など)で説明できるようにしておく。
3. ピアジェとエリクソンの区別
「認知発達理論を提唱したのはどの理論家か」→ピアジェ。 「心理社会的発達の8段階を提唱したのは」→エリクソン。
この区別は選択肢問題でよく使われる。
自治体別の力点
東京都
東京都は認知発達と授業設計を結びつけた問いが多い。 「具体的操作期にある小学生への指導として適切なもの」という問いに対し、「具体物を使った学習」が正しいと判断できるようにしておく。
大阪府
大阪府は各段階の特徴を問う知識問題が中心。 「前操作期の特徴として正しいものを選べ」という問いに、自己中心性・アニミズム・保存概念の欠如を盛り込んだ選択肢を選ぶ問題が出る。
愛知県
愛知県はピアジェとエリクソン・ヴィゴツキーを組み合わせた問題が見られる。 「各理論家と理論の名称を正しく対応させよ」という形式が出ることがある。
学習法アドバイス(元教員より)
小学校で1年生を担任したとき、「なんでこんなに具体物が必要なんだろう」と最初は思った。 ブロックを数える、おはじきを並べる、水を移し替える。 「お話だけで理解できればいいのに」と感じた。
ピアジェの理論に出会って「ああ、7〜11歳の子どもはまだ具体物なしでは論理的に考えにくい段階なんだ」と腑に落ちた。 具体物を使うのは子どもをバカにしているのではなく、発達段階に合わせた適切な支援なんだということ。
学習の優先順位:
- 4段階の名称と年齢を表で覚える(感覚運動期〜形式的操作期)
- 「前操作期=保存概念なし・自己中心性」「具体的操作期=保存概念あり」の対比を押さえる
- エリクソン・ヴィゴツキーとの区別を整理する
- 「シェマ・同化・調節」の用語を確認する
この4段階を一覧表にして手元に置き、各段階の特徴を声に出して確認する方法が覚えやすい。
関連用語
- エリクソン発達段階説 — 心理社会的発達の8段階。ピアジェと並ぶ最頻出理論家
- ヴィゴツキー(最近接発達領域) — ピアジェの理論と対照的に「社会・他者との関わりの中での発達」を強調
- 動機づけ理論(マズロー・ハーズバーグ) — 学習意欲との関連で合わせて覚えておく
参考:
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