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動機づけ理論(マズロー・ハーズバーグ)とは|教採の教育心理で問われる要点

動機づけ理論(マズロー・ハーズバーグ)とは|教採の教育心理で問われる要点

「子どもがやる気になるにはどうすればいいか」

これは教育現場でいつも問われる問いだ。 教採の教育心理でも、動機づけに関する理論は毎年のように出題される。

特にマズローの「欲求階層説(欲求5段階説)」とハーズバーグの「二要因理論」は頻出。 この記事では、それぞれの理論の要点と教採での出題ポイントを整理する。


マズローの欲求階層説

アブラハム・マズロー(Abraham Harold Maslow, 1908-1970)。 アメリカの心理学者。 1943年に発表した「欲求の階層論(A Theory of Human Motivation)」が有名。

5段階の欲求

人間の欲求を5段階のピラミッド構造で示した理論。 低次の欲求が満たされると、より高次の欲求が生まれるとされる。

段階欲求内容
第1段階(最低次)生理的欲求食事・睡眠・呼吸など生存に必要な基本欲求
第2段階安全の欲求危険・不安・恐れからの解放。安定した環境
第3段階社会的欲求(所属と愛の欲求)集団に属したい、愛されたいという欲求
第4段階承認の欲求(尊重の欲求)他者から認められたい、自分を尊重されたいという欲求
第5段階(最高次)自己実現の欲求自分の可能性を最大限に発揮したいという欲求

欠乏欲求と成長欲求

マズローはこの5段階を2つに分けている。

  • 欠乏欲求(D欲求): 第1〜4段階。欠乏(欠けていること)によって動機づけられる
  • 成長欲求(B欲求): 第5段階。自己実現。満たされるほどさらに求める欲求

教育との関係

子どもが安心して学ぶには、まず低次の欲求(安全・所属)が満たされている必要がある。 「おなかが空いて眠れない子が勉強に集中できるか」「クラスに居場所がない子が学習意欲を持てるか」というのは、マズローの理論から説明できる。


ハーズバーグの二要因理論

フレデリック・ハーズバーグ(Frederick Herzberg, 1923-2000)。 アメリカの心理学者・経営学者。 1950〜60年代に「仕事における満足と不満足を引き起こす要因は別物だ」という二要因理論を提唱した。

二要因の定義

要因内容
動機づけ要因(満足要因)あることで満足感・やる気が増す要因。ないことで不満にはならない達成感、承認、仕事の面白さ、責任、昇進
衛生要因(不満足要因)ないことで不満が生まれる要因。あっても満足感につながらない給与、勤務条件、人間関係、会社の方針

最重要ポイント:満足と不満は別の次元

ハーズバーグの理論の核心は「満足の反対は不満足ではない」という考え方だ。

  • 衛生要因を改善しても「不満がなくなる」だけで「やる気が出る」にはならない
  • 動機づけ要因を高めることで、初めて積極的な意欲・満足感が生まれる

「給料を上げれば仕事が好きになる」という考え方はハーズバーグ理論では否定される。 給料は衛生要因であり、低いと不満になるが、高くてもやる気が継続するわけではない。

教育との関係

ハーズバーグの理論を教育に当てはめると:

  • 衛生要因(教育場面): 安心できる環境、友人関係、厳しすぎないルール → 不満の解消
  • 動機づけ要因(教育場面): 「できた!」という達成感、先生や友達からの承認、学びの面白さ → やる気の向上

「罰を減らしても意欲は高まらない。承認と達成感を増やすことが学習意欲につながる」というのがハーズバーグ理論の教育的示唆だ。


マズロー理論とハーズバーグ理論の関係

両者の理論は対応関係で整理できる。

マズローの段階ハーズバーグの要因
生理的欲求・安全の欲求衛生要因(給与・労働条件)
社会的欲求衛生要因(人間関係)
承認の欲求動機づけ要因(承認・地位)
自己実現の欲求動機づけ要因(達成・成長)

マズローの高次欲求(承認・自己実現)がハーズバーグの動機づけ要因と対応している、という整理が教採でも使える。


教採での出題ポイント3つ

1. マズローの5段階の名称と順序

「マズローの欲求段階説の最低次の欲求はどれか」→生理的欲求。 「自己実現欲求はどの段階に位置するか」→最高次(第5段階)。

また「欠乏欲求に含まれない欲求はどれか」→自己実現欲求(成長欲求)。

2. ハーズバーグの二要因の区別

「衛生要因として正しいものを選べ」→給与・労働条件・人間関係など。 「動機づけ要因として正しいものを選べ」→達成感・承認・仕事の面白さなど。

「衛生要因を高めると仕事の満足度が上がる」は誤り。 衛生要因は不満を防ぐ役割があるが、満足ややる気を高める効果は限定的。

3. 二要因理論の核心「満足と不満は別次元」

「不満の反対は満足である」という常識的な認識がハーズバーグ理論では否定される。 「不満の反対は不満のない状態(中立)」であり、「満足の反対は不満足ではなく満足のない状態」だという考え方。


自治体別の力点

東京都

東京都はマズローの欲求階層と子どもの学習環境を結びつけた問いが多い。 「子どもの承認欲求に応えることが自己実現欲求の発達につながる」という論述問題が出ることもある。

大阪府

大阪府はマズローの5段階の名称と配列を問う知識問題が中心。 「第3段階の欲求はどれか」という問いへの対応が求められる。

愛知県

愛知県はハーズバーグの二要因理論の定義と具体例の対応を問う出題が見られる。 「衛生要因・動機づけ要因の具体例として正しいものを選べ」という問題に対応できるようにしておく。


学習法アドバイス(元教員より)

離島の子どもたちを見ていて実感したのは、「安心できる居場所がある子は、勉強が得意でなくても前に進める」ということだった。 マズローの言う「社会的欲求(所属感)」が満たされているかどうかが、学習意欲の土台になる。

ハーズバーグについては「罰の強化は意欲を高めない」という示唆が論作文で使える。 「叱って伸ばす」より「できたことを認める」の方が、学習への動機づけにつながるという考え方だ。

学習の優先順位:

  1. マズローの5段階(生理的→安全→社会的→承認→自己実現)を順序で覚える
  2. ハーズバーグの二要因(衛生要因 vs 動機づけ要因)の定義と具体例を整理する
  3. 「衛生要因を高めても満足は生まれない」という核心を押さえる
  4. マズローとハーズバーグの対応関係を確認する

5段階の欲求は「生安社承自(せいあんしゃしょうじ)」というゴロで覚えている受験生も多い。 自分なりの覚え方を作ってみるといい。


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