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小学校全科の専門教養とは、小学校教諭を目指す受験生を対象に、国語・算数・理科・社会・英語・生活・音楽・図工・家庭・体育など、小学校で教える全科目の学習内容を問う筆記試験のことだ。 教職教養(教育原理・教育法規・教育心理など)とは出題範囲が全く異なり、「自分が授業で教えられるか」を測る実力試験という性格が強い。 自治体によって出題科目数・配点・難易度が大きく異なるため、受験先を絞った対策が合否を左右する。
「小学校全科って、全教科やるの?どこから手をつければ…」 「教職教養と専門教養、両方を同時に対策できるのか不安」 「過去問を見ても、どの科目が頻出なのかよく分からない」
小学校の専門教養は範囲が文字通り「全科」に渡るため、闇雲に手を広げると時間が足りなくなる。一方で、出題傾向を把握してから動いた受験生は「想定より短期間で形になった」と感じることが多い。
このページでは、小学校全科の専門教養について、出題範囲・自治体ごとの傾向・対策の進め方・参考書選びまで、元小学校教員の視点から整理する。
教員採用試験の筆記試験は、大きく3種類で構成されることが多い。
| 科目 | 内容 | 出題例 |
|---|---|---|
| 教職教養 | 教育に関する専門知識 | 教育基本法の条文・ピアジェの発達段階・学習指導要領など |
| 一般教養 | 高校までの一般科目 | 英語の文法・日本史の重要人物・数学の計算問題など |
| 専門教養(小学校全科) | 小学校で教える各教科の内容 | 算数の文章題・理科の実験操作・国語の文法など |
専門教養は「教師として児童に教えられるか」という実践的な知識を問う。 教職教養が「教育とは何か」を問うのに対し、専門教養は「何をどう教えるか」に踏み込んでいると思うと分かりやすい。
教職教養の内容・5分野の詳細については教職教養とは何か|5分野の内容・一般教養との違い・出題傾向を参照してほしい。
専門教養シリーズ全体の位置づけ(中学校・高校・特別支援教育との比較含む)は専門教養とは|教員採用試験の科目別全体ガイドにまとめる予定なので、合わせてチェックしてほしい。
中学・高校の教員が担当教科のみを深掘りすればいいのに対し、小学校教員は国語も算数も音楽も体育も、ほぼ1人でこなすことが求められる。 「全科」という言葉はそのまま試験の幅に直結していて、10〜13科目が出題対象になることが多い。
ただし「全科目が均等に出る」わけではない。 国語・算数の配点が大きく、その他の科目は自治体によって出題有無が分かれる。 まずこの構造を掴んでから、対策を設計するのが正解だ。
小学校全科の専門教養で出題される主な科目と、頻出の出題ポイントを整理する。
ほぼ全自治体で最多出題数を占める科目だ。
特に学習指導要領との連動が強く、「この学年でこの力を育てる」という指導観を問う問題が増えている。
国語と並んで配点が高く、計算問題から図形・文章題まで幅広い。
頻出テーマ:
算数は純粋な計算力より「小学校レベルの指導場面を想定した問題」が多い印象だ。 計算を正確に解くだけでなく、「なぜそう解くか」を言語化できる感覚が求められる。
理科は「実験・観察に関わる設問」の比率が高い。 どの学年でどの単元を扱うか(学年配当)を学習指導要領で確認しておくと得点効率が上がる。
社会は自治体の特色が出やすい科目でもある。 受験先の都道府県・政令市の地域情報(産業・歴史・地形)は別途確認しておく価値がある。
小学校で英語(外国語)が正式な教科として位置づけられたことで、英語の専門教養問題に「指導法・教材の在り方」を問う設問が加わっている。 英語力と指導力の両方を問われる点が、中学校英語免許の試験と異なる部分だ。
音楽は「楽典の知識」が得点源になりやすい。 苦手意識がある受験生でも、楽典の基礎に絞れば短期間で対策できる。
道徳は「特別の教科 道徳」として位置づけられてから、指導法・評価の在り方に関する設問が増えている。 後回しにしがちだが、学習指導要領の記述と組み合わせてしっかり押さえておく科目だ。
全国の教員採用試験受験者のうち、小学校教諭志望者は全体の40〜45%を占める。 校種別で断トツの最多で、採用予定者数も多い反面、受験者数も集中する。
競争率(1次試験の倍率)は自治体によって異なるが、おおむね2〜4倍が標準的だ。 大都市圏の政令市では3〜5倍程度になることもあり、地方の小規模自治体では2倍を下回るケースもある。
小学校は「採用数が多いから入りやすい」とは一概には言えない。 受験者数が比例して多いため、対策の質で差がつく構造になっている。
東京都 国語・算数・理科・社会・英語・生活・音楽・図工・家庭・体育が出題対象で、全科目から幅広く出題される。配点は各教科均等ではなく、国語・算数への集中投資が基本戦略になる。東京都の詳細な教職教養の出題傾向は東京都 教職教養の出題傾向と対策も参照してほしい。
大阪府(大阪市・堺市除く) 専門教養は小学校全科形式で、国語・算数の配点が高め。大阪府の教職教養については大阪府 教職教養の出題傾向と対策に詳細をまとめている。
神奈川県・横浜市 神奈川県と横浜市・川崎市・相模原市は別試験で実施される。政令市それぞれが独自の出題傾向を持つため、受験先の確認が必須だ。神奈川県の教職教養については神奈川県 教職教養の出題傾向と対策を参照してほしい。
共通する傾向 どの自治体でも「国語・算数は最重要」という構造は変わらない。 その上で、理科・社会・英語を第2グループとして厚めに対策し、音楽・図工・家庭・体育・道徳は自治体の過去問で出題有無を確認してから投資するかどうかを判断するのが合理的だ。
残り期間に応じた現実的な学習計画を提案する。
フェーズ1(〜3ヶ月前):全体の見取り図をつくる
フェーズ2(3〜2ヶ月前):科目別の知識インプット
フェーズ3(2〜1ヶ月前):過去問演習と弱点補強
フェーズ4(直前1ヶ月):最終調整
国語・算数に8割の時間を投入して基礎を固め、残り2割で理科・社会・英語をひと通り確認するのが現実的だ。 音楽・図工・家庭・体育は自治体の過去問で「出題があるかどうか」を先に確認して、ほぼ出ない自治体なら対策は後回しにする。
学習指導要領は読む時間がなければ、各科目の「目標」と「各学年の内容一覧表」だけでも先に押さえる。 問題の選択肢を「学指要の言葉」で迷わず選べるようにするのが得点アップの近道だ。
受験自治体の過去3年分だけに絞り、「出た問題・出る可能性の高い問題」に全集中する。 1ヶ月で全科目を新規インプットしようとすると必ず消化不良になる。 知っている知識を確認・補強することに徹して、新しい範囲には手を出さないのが鉄則だ。
小学校全科の専門教養参考書は大きく2タイプある。
残り時間が6ヶ月以上あるなら総合型1冊 + 国語・算数の分冊を組み合わせる。 3ヶ月以下なら総合型1冊に絞って反復する方が現実的だ。
小学校全科の定番参考書で、全国版・自治体別版の両方が出ている。 全10科目以上を網羅しており、独学受験生の最初の1冊に最適だ。
TwinBooks完成シリーズの小学校全科版。 要点整理→演習問題の流れで使えるため、インプットとアウトプットを並行して進めたい人に向いている。
| 状況 | おすすめの選び方 |
|---|---|
| 試験まで6ヶ月以上 | 総合型1冊 + 国語・算数の分冊参考書 |
| 試験まで3〜6ヶ月 | 総合型1冊を徹底反復 |
| 試験まで1〜3ヶ月 | 総合型1冊 + 受験自治体の過去問集のみ |
| 得意科目がある | 苦手科目の分冊で集中補強 |
参考書は1〜2冊に絞って反復するのが鉄則だ。 何冊も買って中途半端に進めるより、1冊を3周する方が確実に得点が上がる。
現場で小学校教員を経験した立場から、試験勉強では気づきにくい部分を3点伝えたい。
専門教養の勉強を始めると、学習指導要領の文章を暗記しようとしてしまいがちだ。 でも現場感覚でいうと、大切なのは「この学年で何を育てるか」という方向性を理解することであって、文言の丸暗記ではない。
試験問題も同じ方向で設計されていて、「この記述として正しいものを選べ」という問題より、「この指導場面でどれが適切か」という思考力を問う問題が増えてきている。 学指要は「読んで理解する」もので、「丸暗記するもの」ではないと思って進めると、頭への入り方が変わってくる。
算数の専門教養は、大学入試のような難問は出ない。 でも「なぜそう解くか」を言語化できないと、小論文・面接で聞かれたときに詰まる。
算数の問題を解くとき、「自分が解ける」で満足せず、「6年生の子どもにどう説明するか」を一言つけ加える習慣を持つといい。 試験対策だけでなく、現場に出てから確実に役立つ思考法だ。
「全科」という名称の圧力で、音楽・図工・家庭・体育まで均等に対策しようとして時間切れになる受験生は少なくない。 まず受験自治体の過去問を3年分確認して、「出ていない科目は後回し」という判断を早めに下すことが大事だ。
出ていないのに対策する時間はもったいない。 その時間を国語・算数の問題演習に使った方が、得点効率は圧倒的に高くなる。
A. 受験自治体の過去問を確認して、実際に出題されている科目を特定してから始めることをおすすめする。全自治体共通で言えるのは「国語・算数は必ず重点対策する」ということだ。理科・社会・英語は多くの自治体で出題があり、音楽・図工・家庭・体育・道徳は自治体によって出題の有無が分かれる。
A. 並行して進めることをおすすめする。「教職教養が終わったら専門教養」という順序では時間が足りなくなりやすい。教職教養は週3日、専門教養は週3日など、曜日を分けて同時進行するのが現実的だ。教職教養の全体像は教職教養とは何か|5分野の内容・一般教養との違い・出題傾向で確認してほしい。
A. 協同出版・時事通信出版局などが「自治体別の過去問集」を発行している。受験先の教育委員会が過去問を公式サイトで公開しているケースもあるので、まず公式サイトを確認するのが早い。
A. 完全に捨てるのは危険だが、全範囲を完璧にしようとする必要もない。頻出単元(理科は生命・地球、社会は歴史・公民)に絞って最低限の合格点を確保する戦略をとってほしい。捨て科目を決める前に、受験自治体で何問出るかを過去問で確認することが先決だ。
A. 文部科学省の公式サイトからPDFで無料ダウンロードできる小学校学習指導要領(平成29年告示)が基本だ。全文を読む時間がなければ、各教科の「目標」と「各学年の内容の一覧」だけでも先に確認しておくと専門教養の選択肢を選びやすくなる。
A. 小学校全科の英語は大学入試のような高難易度問題は出ない。中学〜高校基礎レベルの文法問題と、小学校外国語活動・外国語科の学習指導要領(目標・内容)が中心だ。英語を完全に捨てずに、最低限の学指要の内容と基礎文法を押さえるだけでも得点できる。
A. 楽典の基礎(音符の種類・拍子記号・音程・調号)だけを覚えれば、多くの自治体で出題される音楽の設問には対応できる。教員採用試験向けの楽典参考書ではなく、中学音楽の教科書を1冊使って基礎を確認するのが一番コスパが良い。
小学校全科の専門教養で合格点を取るポイントを整理する。
範囲の広さに圧倒されて動けなくなる前に、まず受験自治体の過去問を1年分だけ見てほしい。 「実際に何が出ているか」が分かった瞬間に、漠然とした不安がかなり和らぐはずだ。
専門教養の全体像や他の校種・科目については、関連記事でも確認できる。
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