教職教養と一般教養、どちらを先にやればいいのかわからない——この迷いは、教採の勉強を始めた多くの人が最初にぶつかる壁だ。 「どっちも大事」という答えでは意味がないので、この記事では配点・残り期間・受験自治体の形態という3軸で判断する方法を整理する。 さらに両科目を並行するときの時間配分の目安と、学習計画の組み方まで一気に扱う。
まず全体像を把握しておく。 教採の筆記試験は、大きく分けて3種類ある。
教職に関わる知識を問う科目。 教育原理・教育法規・教育心理・教育史・教育時事の5分野が中心で、「教員として知っておくべき法律や理念」を問われる試験と理解すると掴みやすい。
たとえば「学校教育法の目的を答えよ」「生徒指導提要の四層構造はなにか」といった問いが出る。 暗記が多いが、単純な丸暗記より「なぜその条文があるのか」「現場でどう活きるか」を押さえると定着しやすい。
詳しい出題分野・勉強法は教職教養の対策記事でまとめている。
大学教養レベルの基礎学力を問う科目。 国語・数学・英語・理科・社会といった教科横断型の問題が出る。 小中学校で習った内容が多いが、自治体によっては大学受験レベルの難易度になることもある。
時事問題や文化・芸術を含む自治体も多く、「何が出るか読みにくい」と感じる人が多い科目でもある。
一般教養の出題範囲・対策については一般教養の対策記事を参照してほしい。
校種・教科に特化した専門知識を問う科目。 小学校全科なら「算数・理科・社会・国語…を小学校教員として教える知識」、中学国語なら「現代文・古文・漢文の専門知識」が問われる。
本記事では概要に留める。 校種別の専門教養については各専門記事で詳しく扱っている。
ここが重要な落とし穴になる。 「一般教養はどこも必須」ではない。
一般教養を廃止している自治体は少なくなく、「教職教養のみ」「教職教養+専門教養のみ」という形態の自治体も多い。 受験予定の自治体が何を実施しているかは、まず最初に確認すべき情報だ。 自治体別の実施科目・配点一覧で確認できる。
「どちらも大事」は答えになっていない。 判断軸は3つある。
受験自治体の配点比率を調べるのが最初のステップ。 配点が高い科目を優先するのが基本だ。
以下は代表的な自治体の教職教養・一般教養の配点比率の目安(2025年度実施の選考情報をもとにした参考値。最新は各自治体の公式募集要項を必ず確認すること)。
| 自治体 | 教職教養 | 一般教養 | 専門教養 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | あり | なし | あり(教職教養と共通問題形式) |
| 神奈川県 | あり | なし | あり |
| 愛知県 | あり | あり | あり |
| 大阪府 | あり | あり | あり |
| 福岡県 | あり | なし | あり |
| 北海道 | あり | あり | あり |
東京・神奈川・福岡は一般教養を実施していないため、一般教養の勉強は不要になる。 一方で愛知・大阪・北海道は3科目すべてに対応が必要だ。
「一般教養が必要かどうか」で勉強量がかなり変わるので、まずここを確認してほしい。
配点の比率については各自治体で異なる。 たとえば一般教養の配点が教職教養の半分以下なら、力の入れ方も変える必要がある。 自治体別の傾向ページに配点データを掲載しているので、受験先のページを確認してみてほしい。
残り期間によって優先順位の付け方が変わる。
残り6ヶ月以上ある場合
時間があるので「得点しやすいほうを先に固める」戦略が取りやすい。 一般的に教職教養のほうが出題範囲が明確で、暗記中心なので点数に繋がりやすい。 教職教養を先に一通り仕上げ、その後一般教養に移行するパターンを推奨する。
残り3〜6ヶ月の場合
並行せざるを得ない時期。 ただし「両方を均等に」ではなく、配点比率に合わせた時間比率で進める。 詳しくは後述する時間配分の目安を参考にしてほしい。
残り3ヶ月を切った場合
取捨選択が必要になる。 一般教養の出題範囲が広すぎて手が回らない場合は、頻出分野(国語・英語・数学の計算系)に絞る。 教職教養は最低限の法規・原理を確実に押さえることを優先する。
この時期の集中戦略は教職教養 直前1ヶ月の対策記事で詳しく扱っている。
これが最もシンプルな判断。 東京都・神奈川県・福岡県など一般教養を実施しない自治体を受験する人は、一般教養を一切やらなくていい。
「念のため一般教養もやっておこう」という発想は、限られた勉強時間を無駄にするだけだ。 受験先が確定したら真っ先に実施科目を確認する習慣をつけてほしい。
教職教養と一般教養、どちらか一方だけを受ける自治体であれば話はシンプルだ。 問題は「両方受ける自治体」を志望している場合の計画の立て方。
最も余裕のあるスタートライン。 フェーズを3つに分けると組み立てやすい。
フェーズ1(最初の2ヶ月): 教職教養を先行して固める
理由は2つある。 一つは「暗記で点が取りやすい」こと。 教職教養は出題範囲が決まっており、過去問を繰り返せばかなりの得点率になる。 もう一つは「論作文・小論文の対策と並行しやすい」こと。 教育法規や教育原理の知識は、論作文・小論文を書くときの根拠としてそのまま使える。 教職教養で仕入れた知識が、論作文・論述問題でも生きてくる。
教職教養の先行学習に最初の1冊として、要点整理と過去問演習を1冊でまかなえる「教職教養らくらくマスター」を挙げておく。
フェーズ2(次の2ヶ月): 一般教養を加える
教職教養をある程度固めたら一般教養を並行させる。 このフェーズでは教職教養の維持(週2〜3回の過去問演習)+一般教養の新規インプットという比率が理想的。
フェーズ3(残り2ヶ月): 苦手潰しと模試演習
過去問の正答率が低い分野に集中する時期。 一般教養の中で特に範囲が広い分野(社会・理科など)は深追いせず、頻出パターンの確認に留める。
3ヶ月しかない場合は、最初から並行が前提になる。 ただし均等配分は非効率で、配点比率に合わせた時間配分が必要だ。
最初の1ヶ月: 教職教養重点
法規・原理・心理の基本事項をインプットしながら、一般教養は頻出の国語・英語・数学に絞る。 広い一般教養をすべて手を付けようとすると確実に破綻する。
中盤1ヶ月: 並行ペースを固める
教職教養の過去問演習を週4〜5回こなしながら、一般教養を頻出分野に絞って回す。 この時期に「1日の時間配分」を固定することが大事で、曖昧なまま進めると気づいたら教職教養ばかりやっていた……という事態になりやすい。
最後の1ヶ月: 直前仕上げ
教職教養は直前1ヶ月の勉強法として別途まとめているので参照してほしい。 一般教養は新しい分野には手を出さず、固めた分野の精度を上げることに集中する。
配点比率に合わせた時間配分が基本。 ただし「一般教養を廃止した自治体への転換受験」を想定している場合は、始めから教職教養に重点を置いておくほうが安全だ。
配点比率が教職:一般 = 1:1 の場合
時間比率も 1:1 を目安にする。 ただし一般教養は範囲が広いため、「点が取れそうな科目だけに絞る」という判断は合理的だ。 全科目を均等に勉強しようとするより、国語・英語・数学を8割取りに行くほうが現実的。
配点比率が教職:一般 = 2:1 の場合
時間比率も 2:1 が基本。 一般教養に使う時間は1日1〜1.5時間程度に留め、残りを教職教養の演習に充てる。
配点が非公開または不明な場合
教職教養6割・一般教養4割という比率でまず始め、過去問の難易度を確認しながら調整する。 一般教養が難問中心なら一般教養寄りに、教職教養の暗記量が多いと感じたら教職教養寄りに動かせばいい。
この記事では「両科目の優先順位と時間配分」に絞って扱ってきた。 各科目の詳細な勉強法・参考書・学習ステップは、それぞれの専用記事でまとめている。
教職教養の勉強法(5分野の攻略順・参考書・暗記テクニック) → 教職教養の対策を全部まとめた記事はこちら
一般教養の勉強法(4分野の頻出ポイント・参考書・やりがちな失敗) → 一般教養の対策を全部まとめた記事はこちら
教職教養の直前1ヶ月集中対策 → 試験まで1ヶ月を切った人向けの記事はこちら
受験自治体が一般教養を実施しているかどうかをまず確認してほしい。 実施していないなら教職教養だけに集中できる。 両方必要な場合は、教職教養を先行して固めてから一般教養を加えるのが基本。 範囲が明確で点を取りやすい教職教養を先に仕上げることで、一般教養への切り替えがスムーズになる。
東京都・神奈川県・福岡県などは一般教養を実施していない。 ただしこの情報は年度によって変わることがあるため、必ず受験年度の公式募集要項で確認すること。 自治体一覧ページで実施科目の情報を確認できる。
配点比率に合わせるのが基本。 配点が非公開の場合は、教職教養6・一般教養4を出発点にして調整する。 一般教養の範囲が広すぎて時間が足りない場合は、頻出科目(国語・英語・数学)に絞って深追いしないことが大事。
間に合うかどうかは「なにに合格したいか」によって変わる。 教職教養は3ヶ月で基本事項をほぼカバーできる科目なので、集中すれば十分戦える。 一般教養が必要な自治体を受験する場合は、科目を絞る判断が重要になる。 全科目を均等にやろうとするのが一番の失敗パターン。
「条文を丸暗記する」のではなく、「なぜその制度があるのか」という背景とセットで覚えると定着しやすい。 たとえば学校教育法を覚えるときも、「戦後の教育改革で何が変わったか」という流れを把握してから条文に入ると、単なる暗記とは全然違う理解になる。 教職教養の詳細な勉強法でも暗記テクニックを扱っているので参考にしてほしい。
分けて考えなくていい。 教職教養で学ぶ教育法規・教育原理の知識は、論作文・論述問題の根拠として直接使えるから。 たとえば「生徒指導提要」の内容を教職教養で押さえていれば、論作文・小論文で「生徒指導の4層構造」に言及できる。 むしろ教職教養の勉強中に「この知識、論作文・小論文で使えそう」と意識する癖をつけると、両方の対策が同時に進む。
「一般教養が必要な自治体の基準に合わせる」のが基本方針。 一般教養を勉強しておいて損はなく、不要な自治体には適用しなければいいだけ。 ただし複数自治体の受験は「教職教養の自治体別傾向の違い」が大きくなるため、傾向分析に時間を使いすぎないよう注意が必要だ。
早ければ早いほど余裕が生まれるのは確かだが、「何月から始めるべき」という絶対的な答えはない。 ただし試験の3ヶ月前を切ってから始めると、両科目の並行がかなりタイトになる。 余裕を持って進めたいなら6ヶ月前、早期スタートが難しければ最低3ヶ月前を目安にしてほしい。 自治体別の試験傾向ページで受験先の出題パターンを把握してから計画を立てると、無駄な勉強を省ける。
論作文・小論文の対策も並行して進めたい人は、論作AIで添削してみてほしい。 教養の勉強と論作文・小論文の練習は別々に考えがちだが、教職教養で学んだ知識が論作文・論述の土台になる。 試験本番までに何本か書いて添削を重ねておくことで、本番の「書けない」状態をかなり減らせる。
合格に必要なテーマ・自治体・用語を、ハブページからまとめて辿れます。