兵庫県の教員採用試験を受けようとしている人が、最初に面食らうのは「教職教養の問題数が少ない」という事実だと思う。 全国的には教職教養が20〜30問出るのが普通なのに、兵庫県は7〜10問ほど。 むしろ一般教養が全体の85%前後を占める、非常に特殊な構成になっている。
だからといって教職教養を軽視していいかというと、そうじゃない。 問題数が少ないぶん、1問の重みが増す。 しかも兵庫県固有の施策(ひょうご教育創造プラン、特別支援教育推進計画など)がそのまま出題されることが多く、「なんとなく知っている」レベルでは太刀打ちできない。
この記事では、兵庫県の教職教養がどういう構造になっているかを整理したうえで、神戸市との違い、よく出るテーマ、具体的な学習の進め方まで書いていく。
令和9年度(2026年実施)の兵庫県公立学校教員採用候補者選考試験の1次試験は、以下の3本立てで構成されている。
| 試験区分 | 実施日 | 配点 |
|---|---|---|
| 集団面接 | 2026年6月13日(土) | 100点 |
| 筆記試験(教養・専門) | 2026年7月19日(日) | 教養100点+専門200点 |
| 1次合計 | 400点満点 |
2次試験は2026年8月16日〜27日のうちの指定日に模擬授業・個人面接が行われる。
教養試験100点の中に、「一般教養」と「教職教養」が混在している。 問題数は近年の傾向でいうと、50問中:
全国でもここまで一般教養に振り切っている自治体は珍しい。 多くの受験生が「教職教養は少ないから楽」と勘違いするが、問題数が少ないということは1問落とすとそれだけ痛い、とも言える。
問題形式は択一式(4〜5択)。専門試験だけ記述式が混じる。
教職教養7〜10問が何分野から出るかというと、毎年ほぼ固定のパターンがある。
毎年必ずといっていいほど出る。兵庫県は特に県独自の資料・計画文書から直接出題することが特徴的で、「なんとなく知っている」では解けない。
代表的な出典:
特別支援教育はここ数年連続で出題されているため、最優先で押さえておくべきテーマ。
毎年必ず出るわけではないが、出るときは「条文の穴埋め」や「正しい記述を選べ」系の問題。 教育基本法・学校教育法・子どもの権利条約あたりが頻出。 出題年と非出題年が混在するので、深入りしすぎず「主要条文の骨格を押さえる」程度で十分。
ヴィゴツキー、ピアジェ、マズローといった人名と理論のセットを問う形式が多い。 こちらも毎年安定して出るわけではないが、1問出れば大きい。 基本的な発達理論・学習理論の人名対応だけは確実に覚えておきたい。
第4期ひょうご教育創造プラン、いじめ防止対策、不登校対応、GIGAスクール関連など。 県の計画文書が直接出題されるケースが増えており、他府県の受験生向け参考書だけでは対応しきれない部分がここに集中している。
神戸市は政令指定都市として、独自に教員採用試験を実施している。 兵庫県の募集要項には「神戸市立学校を除く」と明記されており、両者は完全に別の試験。
どちらか一方しか受けられないわけではないが、それぞれに出願する必要がある。 兵庫県と神戸市を「どちらも受けたい」という人は、両方の出願締切・試験日程を個別に確認すること。
| 項目 | 兵庫県 | 神戸市 |
|---|---|---|
| 実施主体 | 兵庫県教育委員会 | 神戸市教育委員会 |
| 勤務先 | 神戸市以外の県立・市町立学校 | 神戸市立学校・幼稚園 |
| 教職経験者特例 | 臨時教諭の1次全部免除など | 教職経験者は筆記免除→小論文試験 |
| 出願方法 | 電子申請 | 電子申請(インターネット受付) |
神戸市の試験は2026年度(2025年実施)から制度変更が行われており、教職経験者に対しては筆記試験を免除し小論文試験を課す特例がある。 神戸市を第一志望にしている場合は、神戸市の実施要項を必ず別途確認すること。
兵庫県の教職教養で繰り返し登場するテーマを、出題頻度と重要度でまとめた。
「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」の結果数値(最新調査では小中学校で8.8%)や、インクルーシブ教育の理念、合理的配慮の定義あたりが頻出。 兵庫県特別支援教育第四次推進計画の内容から直接出題されたこともある。
令和6年(2024年)3月に策定された第4期プランは、今後数年間の最重要テーマ。 基本理念「絆を深め 未来を拓く力を育むひょうごの教育」、3つの基本方針(確かな学力、豊かな心・健やかな体、安全安心な学習環境)は丸ごと覚えておきたい。
阪神・淡路大震災(1995年)を経験した兵庫県だからこそ、防災教育の出題は他県より明らかに多い。 「自助・共助・公助」の概念、学校での避難所運営、心のケア(PTSD・トラウマへの対応)、「命の大切さ」を軸にした道徳教育など、震災の教訓を現在の教育実践にどう結びつけるかという視点で出題される。
いじめ防止対策推進法(2013年)の定義・学校いじめ防止基本方針、令和4年度問題行動等調査でのいじめ認知件数などが繰り返し出る。 兵庫県のいじめ認知件数の推移を把握しておくと、時事系の選択問題で確実に得点できる。
文科省通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」や、別室登校・適応指導教室・フリースクール連携など、具体的な支援の仕組みを問う問題が出る。 「教育機会確保法」(2016年)の内容も押さえておきたい。
毎年必ずというわけではないが、出るときは条文の正誤判定が多い。 教育基本法第1条(教育の目的)、第2条(教育の目標)の5項目、学校教育法の義務教育に関する規定あたりは確実に。
1人1台端末の整備状況、情報活用能力の育成、デジタル教科書の扱いなど。 第4期ひょうご教育創造プランでも「ICT活用の推進」が重点施策に入っているため、時事と施策を絡めた出題が増えている。
「多様な性を正しく理解するために」(兵庫県教育委員会、2023年)が実際の出典として使われた実績あり。 LGBTQ+に関する教育的対応、人権教育の推進など、近年出題が増えているテーマ。
ピアジェの発達段階説、ヴィゴツキーの最近接発達領域、エリクソンの発達段階、マズローの欲求階層説。 これらの人名と理論の対応は完璧に覚えておく。出ないこともあるが、出たときにゼロから考える問題ではないため、一度仕上げてしまえば維持コストは低い。
「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」「社会に開かれた教育課程」など、現行指導要領のキーワードは教職教養・専門試験の両方で登場する。 小学校は2020年度、中学校は2021年度から全面実施されているため、現時点では「新学習指導要領」という言い方は不正確。「現行学習指導要領」として把握しておくこと。
試験が7月19日(筆記)・6月13日(集団面接)であることを前提に、逆算した学習計画を示す。
この時期は「何を覚えなければいけないか」の地図を描く段階。 教職教養の参考書を1冊通読し、分野別の構成を理解する。 兵庫県が「教職教養は少ないが県固有資料から出る」という特性を頭に入れたうえで、一般教養と教職教養のバランスをどうとるか方針を決める。
ここで多くの受験生が失敗するのは、教職教養の参考書を完璧にしようとして一般教養が疎かになること。 兵庫県は一般教養の比重が圧倒的に高い。 まず一般教養の全体量を把握することが先決。
兵庫県固有の施策(ひょうご教育創造プラン第4期)はこのタイミングで読み込む。 PDFが兵庫県教育委員会のサイトで公開されているので、概要版だけでもプリントアウトして読んでおく。
集団面接(6月13日)が先にある点が兵庫県の特徴。 面接対策と筆記対策を同時並行で進める必要があるため、5月中に筆記の仕上げをある程度終わらせておくのが理想。
兵庫県の1次試験には小論文は含まれない。 小論文が課されるのは、一部の特例選考(教職経験者向け・英語資格所有者向けなど)の例外的なケースや、神戸市の試験(教職経験者の筆記免除→小論文)である。
通常の選考(新卒・一般)については、1次試験は「集団面接+教養試験(筆記)+専門試験」の400点満点で合否が決まり、小論文は課されない。
ただし、2次試験では模擬授業・個人面接があり、面接の中で「教育観を文章で説明する力」が間接的に問われる。 筆記の教職教養で覚えた知識(ひょうご教育創造プランの理念、防災教育の視点など)を面接で言語化できるかどうかが、合否のもう一つの鍵になる。
| 試験 | 配点 | 備考 |
|---|---|---|
| 集団面接 | 100点 | 6月13日実施 |
| 教養試験(一般+教職) | 100点 | 教職教養は7〜10問分 |
| 専門試験 | 200点 | 記述式含む |
| 合計 | 400点 | 足切りあり(各試験の基準点未満は総合点に関係なく不合格) |
重要なのは各試験に足切りが存在する点。 専門試験で高得点を稼いでも、教養試験が基準点を下回れば不合格になる。 教職教養を「問題数が少ないから後回し」にするのは、足切りリスクがあって危険。
最後に、ここまでの内容を整理する。
兵庫県の教職教養の3つの特徴
やること・やらなくていいこと
教職教養と一般教養の時間配分の目安
一般教養:教職教養=7:3で学習時間を割いても、兵庫県では十分戦える。 一般教養43問・教職教養7問という比率は、得点源が圧倒的に一般教養側にある。 教職教養の勉強に自信がついたら、迷わず一般教養の時間を増やすほうがスコアは上がる。
教職教養の暗記と並行して、小論文の答案練習も必須です。 論作AIは兵庫県の出題傾向に合わせた採点ができるAIサービス。 答案を書いて即採点されるので、忙しい受験生でも隙間時間に回数を積めます。
千葉県教員採用試験の教職教養(学習指導要領/教育法規/千葉の教育施策/時事)の傾向、配点、千葉市との共同実施の仕組みを元教員が解説。頻出テーマと学習法を網羅。
福岡県教員採用試験の教職教養(教育原理/心理/法規/時事)の傾向、配点、福岡市・北九州市との分離関係を元教員が解説。校種別の注意点から学習スケジュールまで網羅。
広島県教員採用試験の教職教養(教育原理/心理/法規/時事)の傾向、配点、広島市との分離関係を元教員が解説。よく出るテーマと学習法を網羅。
合格に必要なテーマ・自治体・用語を、ハブページからまとめて辿れます。