長野県の教採を受けようとして、まず戸惑うのが「試験の構成が他県と違う」という点だと思う。
参考書や対策サイトを調べると「教職教養30問」「一般教養50問」みたいな情報がたくさん出てくる。でも長野県はそれとは少し違う仕組みで動いている。2026年度(令和8年度)試験からはさらに大きな変更があって、試験の組み立て自体が変わった。
この変更を知らないまま古い情報で対策を進めると、やらなくていい範囲に時間を使うことになる。逆に言えば、変更点をちゃんと把握できていれば、対策をかなり絞り込める。
この記事では、長野県の教職教養が「今どういう形で出るか」「どこを重点的にやるべきか」を順番に整理した。
長野県の教員採用試験は、2026年度実施(令和8年度)から試験構成が大きく変わった。
最大のポイントは2つある。
① 一般教養が廃止された
これまで長野県の一次試験には「一般教養」科目があった。国語・英語・数学・社会・理科といった教科横断の基礎学力を問う科目で、受験生の対策負担が大きい科目のひとつだった。2026年度からこれが完全に廃止された。
② 教職教養が「専門教科」の中に組み込まれた
これが他県と大きく異なる点だ。多くの都道府県では「教職教養」という独立した科目があるが、長野県では2026年度以降、教職教養の問題が「専門教科」のテストの中に組み込まれる形になった。科目名としては「教職教養・専門教科」として一体実施される。
つまり「教職教養を別個に30分・20問やる」という形式ではなくなり、専門教科の試験の中で教職教養分野も問われる、という構造になっている。
| 変更前(〜令和7年度) | 変更後(令和8年度〜) |
|---|---|
| 一般教養(独立科目) | 廃止 |
| 教職教養(独立科目) | 専門教科と一体化して実施 |
| 専門教科(独立科目) | 教職教養・専門教科(一体) |
第一次試験の構成は以下の通り。
一般教養がなくなったため、試験科目数は減り、専門教科と教職教養の両方に集中して対策できる構成になった。
公式には合格ラインは公表されていない。一体化試験になったため、分野ごとの得点配分も従来の水準とは変わっている部分がある。ただし過去の受験者情報を踏まえると、教職教養部分については6割程度が一次通過の実用的な目標ラインとして語られることが多い。
一般教養が廃止されたことで対策の範囲は絞られたが、専門教科との合算で評価される構造のため、どちらかに偏りすぎると全体で沈む可能性がある。
一体化後の詳細な配点は今後の過去問で蓄積されていくが、出題される教職教養の分野自体は従来と大きくは変わっていない。長野県がこれまで出題してきた傾向から、優先すべき分野を整理する。
| 分野 | 出題の重さ | コメント |
|---|---|---|
| 教育原理(学習指導要領) | 多い | 改訂の核となる概念が毎年出る |
| 教育法規(教育基本法・学校教育法等) | 多い | 条文の穴埋め・趣旨問題 |
| 教育時事(こども基本法・COCOLOプラン等) | 多い | 近年増加傾向 |
| 教育心理(発達・学習理論) | 中程度 | 人名と理論名の対応 |
| 特別支援教育 | 中程度 | インクルーシブ教育の観点から毎年出る |
| 生徒指導(生徒指導提要) | 中程度 | 2022年改訂版が頻出素材 |
| 教育史(西洋近代中心) | やや多い | 人物・著作・主張の対応 |
| 長野県の教育施策 | 少なめだが出る | 信州教育の特色と結びつけて理解 |
学習指導要領が中心で、総則の「主体的・対話的で深い学び」「資質・能力の三つの柱」「カリキュラム・マネジメント」あたりが繰り返し出てきている。 改訂の文脈を丸暗記ではなく「なぜこうなったか」を含めて理解すると、応用問題に強くなる。
生徒指導提要(2022年改訂版)も重要度が高い。 「発達支持的生徒指導」「課題予防的生徒指導」「困難課題対応的生徒指導」という三層構造は、改訂前との違いを押さえておく必要がある。
教育基本法・学校教育法・地方公務員法・教育公務員特例法あたりが頻出。 条文番号と内容のセットで覚えることが必要だが、「丸暗記」より「この条文が言っていることの意味」を理解した上で記憶する方が、選択肢をちゃんと絞り込める。
こども基本法(2023年施行)、COCOLOプラン(2023年)、教育振興基本計画(第4期)などが近年頻出。 「名前は聞いたことがあるけど中身は曖昧」という状態が一番危ない。 文書名・発出年・主な目的の三点セットで整理しておく。
コメニウス・ルソー・ペスタロッチ・ヘルバルト・フレーベルの5人は最低限、著作名と主な主張を結びつけられるようにしておく。 日本の教育史は学制・教育勅語・戦後改革あたりを押さえておくと安心。
ここが他県受験生との最大の違いになる部分だ。
多くの自治体では「教職教養は教職教養の参考書で独立して対策」すればいい。 でも長野県では、教職教養の問題が専門教科のテストに混在している。 つまり、専門教科の対策と教職教養の対策を、同じ試験の中での配分として考える必要がある。
「専門教科を仕上げれば教職教養は後でいい」という発想が通じない。 一体化した試験の中で両方からバランスよく得点することが求められる。
一般教養が廃止されたことは、受験生にとって純粋にメリットだ。 国語・数学・英語・社会・理科の基礎学力を「試験用に」仕込む時間が不要になった。 その分を専門教科と教職教養の精度を上げることに使える。
ただし、一般教養廃止によって「一般教養で稼げる問題がなくなった」とも言える。 専門教科と教職教養の両方の完成度が問われる構造になっている。
長野県は「信州教育」という独自の教育文化を持っている。
これらは直接出題されることは多くないが、論作文のテーマや面接での問いに関わってくる。教職教養の学習と並行して、長野県の教育施策の基本的な方向性を把握しておくと、一次・二次の両方で効く。
長野県の論作文については長野県教員採用試験 論作文対策でも詳しく取り上げている。
長野県の教職教養で実際に出題頻度が高いテーマを10個まとめた。
改訂のポイント(資質・能力の三つの柱、主体的・対話的で深い学び)と各校種の目標が頻出。 総則の文言と教科目標の書き方の違いも意識しておく。
三層の支援構造が新設された改訂版。 「発達支持的生徒指導」「課題予防的生徒指導(普遍的な取組・課題未然防止教育)」「困難課題対応的生徒指導」の区別を押さえておく。
第1条(目的)・第2条(目標)・第9条(教員)・第16条(教育行政)あたりが特に問われやすい。 数字と内容の対応を混同しないよう、整理して覚える。
「合理的配慮」の定義、個別の教育支援計画と個別の指導計画の違い、通級による指導の仕組みが頻出。 発達障害(LD・ADHD・ASD)の基本的な特性についても押さえておく。
研修の種類(職務研修・職専免研修)、副業禁止規定の例外、懲戒の種類と根拠法。 地方公務員としての服務規律はほぼ毎年どこかで問われる。
2023年施行のこども基本法の目的、こども家庭庁の設立背景、こどもの権利条約との関係。
2023年にまとめられた不登校支援。 「魅力ある学校づくり」「学びの多様化学校」といったキーワードを整理しておく。
コメニウス・ルソー・ペスタロッチ・ヘルバルト・フレーベル。 人物名、著作名、主張の概要を対応させておく。
「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的充実が核。 どういう文脈でこの答申が出たかを理解していると、関連する問題で選択肢を絞りやすくなる。
1人1台端末の活用、デジタル教科書、情報活用能力の育成。 生成AIと教育に関するガイドライン(文科省、2023年)も近年の出題範囲に入ってきている。
まず全体像の把握から始める。 この段階の目的は「何が出て、何が出ないか」の地図を持つこと。
やること:
この時期に一体化試験の構造を確認しておく。 専門教科との一体実施という形式が他県と異なるため、市販の参考書の「長野県の教職教養は○○問」という情報が古い可能性がある点にも注意が必要だ。
地図ができたら、出題頻度の高い分野から集中的につぶす。
優先順位:
このフェーズで「解いて、間違えて、なぜ間違えたかを確認する」サイクルを回す。
やること:
択一式は「うろ覚え」が一番危ない。 確実に正解できるものを増やす段階。
やること:
特に直前期は「やっていない範囲への不安」から広げすぎるミスが起きやすい。 絞ってやり切ることが結果につながる。
長野県の一次試験は、教職教養・専門教科(一体)と論作文と個人面接で評価される。
ここで多くの人が陥るのが「教職教養の暗記だけやって論作文を後回しにする」パターンだ。
長野県の論作文は「作文型」の設問で、教育観や教師像を問う内容が中心になっている。 「学習指導要領の目標」「生徒指導提要の考え方」「インクルーシブ教育」といった教職教養で覚えた内容を、文章として出力できるかどうかを問う場でもある。
つまり教職教養と論作文は、インプット(知識)とアウトプット(文章化)の表裏一体の関係にある。
教職教養で覚えた概念を、論作文で実際に使えるかどうかを確認する習慣をつける。 「知識として持っているだけ」では論作文で使えない。
長野県の論作文の出題傾向については長野県教員採用試験 論作文対策でまとめている。 教職教養の学習と並行して読んでおくことをすすめる。
教職教養全般の勉強法については教職教養の勉強法・完全ガイドも参考にしてほしい。
長野県の教職教養対策を一言でまとめるなら、「2026年度からの変更をちゃんと踏まえた上で、他県と同じ優先順位で攻める」だ。
試験の形式は変わった(専門教科との一体化・一般教養廃止)が、教職教養として問われる知識の核は変わっていない。 最重要は学習指導要領・教育法規・教育時事・生徒指導提要。 特に一般教養廃止によって対策の無駄が削れた分、その時間を専門教科と教職教養の完成度に使うことが合格への近道になる。
構成変更の情報が古い参考書やサイトに出回っていることがある。 実施要項は必ず長野県教育委員会の公式サイトで最新版を確認してほしい。
教職教養の暗記と並行して、論作文の答案練習も必須です。 論作AIは長野県の出題傾向に合わせた採点ができるAIサービス。 答案を書いて提出すれば、観点別の採点と具体的な書き直しアドバイスがその場で返ってきます。
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