1次試験まであと20日、2次面接まで約7週間。
神奈川県教採の二次選考は、構造が少し独特だ。 「論文試験は第2次試験」という扱いでありながら、実際に書くのは1次試験日の7月6日。 初めてこれを知ったとき、私も少し混乱した記憶がある。
論文を書き終えた時点で、本人にできることはもう何もない。 2次の手元に残るのは「模擬授業」「個人面接」そして「校種によっては実技」だ。 そこに残り7週間を全振りする、というのがこの記事の前提になる。
まず確認したいこと 神奈川県教育委員会の試験と、横浜市・川崎市・相模原市の試験は別の試験だ。 政令指定都市は独自の採用試験を実施しており、日程も内容も異なる。 「神奈川県で受験しています」と言っていても、受けているのが市の試験であるケースは毎年ある。 自分の受験票と募集要項を今一度確認してほしい。
神奈川県の2次で課される試験内容は、校種によって異なる。 最初に自分の列を確認してから、該当セクションに進んでほしい。
| 校種 | 論文採点 | 模擬授業 | 個人面接 | 実技試験 |
|---|---|---|---|---|
| 小学校 | ○(1次日に実施済) | ○ | ○ | なし |
| 中学校 | ○(1次日に実施済) | ○ | ○ | 教科による |
| 高等学校 | ○(1次日に実施済) | ○ | ○ | 教科による |
| 特別支援学校 | ○(1次日に実施済) | ○ | ○ | なし |
| 養護教諭 | ○(1次日に実施済) | ○ | ○ | なし |
| 栄養教諭 | ○(1次日に実施済) | ○※ | ○ | なし |
※栄養教諭の模擬授業は「1回の給食時間における食に関する指導」の導入部分。
中学・高校の実技対象教科(音楽/美術/保健体育/技術/家庭/英語)と具体的な内容はSection 5で詳しく扱う。
神奈川県の採用試験には、他の自治体ではあまり見ない仕組みがある。 論文試験の**実施は1次試験日(7月6日)**だが、採点は2次選考の段階でおこなわれるというものだ。
公式実施要項にはこう書いてある。
「論文試験は第2次試験ですが、第1次試験実施日に、特別選考⑧(国公立学校正規教員)を除く全ての受験者に実施し、第1次試験合格者、特別選考②(前年度試験実績者)及び特別選考⑥(チャレンジ修了者)受験者のみ採点します。」 ——令和8年度神奈川県公立学校教員採用候補者選考 実施要項より
つまり、1次を通過しなかった人の論文は採点されない。 逆に言えば、1次を通過さえすれば「あの日に書いた論文が2次の得点になる」。
この仕組みが意味するのは、論文対策のタイムリミットは7月6日ということだ。 2次の面接日を過ぎてから「論文をもっと練っておけばよかった」と思っても、もうやり直しはきかない。 今この記事を読んでいる人には、7月6日までに論文の準備を完了させてほしい。
[1次試験] 2026年7月6日(月)
└ 筆記 + 論文(60分・600〜825字)
[1次合格発表] 2026年7月23日(水) 予定
[2次試験 面接] 2026年8月3日(月)〜14日(金)のうち指定1日
└ 模擬授業 + 個人面接
[2次試験 実技] 2026年8月10日(月)〜17日(月)のうち教科指定日
└ 中学・高校の音楽/美術/保健体育/技術/家庭/英語のみ
└ 面接日とは別日
[2次合格発表] 2026年9月17日(木) 午前10時
1次合格発表(7/23)から面接初日(8/3)まで、わずか11日しかない。 本番の模擬授業を「合格がわかってから考える」では間に合わない。 合格発表を待たず、今から模擬授業の準備を動かしておくのが現実的だ。
私が現場で見てきた採用後1年目の先生たちを思い返しても、 直前に詰め込んだ人より、早い段階から場数を踏んでいた人のほうが面接の場で落ち着いていた印象がある。
念のため繰り返す。 本記事が対象とするのは、神奈川県教育委員会が実施する採用試験だ。 横浜市・川崎市・相模原市は政令指定都市として独自に試験を実施しており、 日程・試験内容・配点・合格基準のすべてが異なる。
「神奈川県内の学校で教えたい」という動機で、どちらかの試験を受けている人は多い。 しかし、対策の内容はまったく別物になる。 必ず自分の受験票に記載されている実施機関を確認してほしい。
1次試験日(7月6日)に実施される論文試験の仕様は以下のとおりだ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制限時間 | 60分 |
| 字数 | 600字以上825字以下 |
| 試験区分 | 第2次試験(ただし1次実施日に全員が書く) |
| 採点対象 | 1次合格者・特別選考②・特別選考⑥のみ |
字数の下限が600字、上限が825字という幅はやや特殊だ。 「800字程度」とだけ書いてある自治体が多い中、神奈川は下限を明示している。 600字を下回ると評価対象外になる可能性があるため、必ず下限を超えて書くこと。
論文の評価観点は「表現」4項目と「内容」3項目の計7項目からなる。
<表現>
| 観点 | 着目点 |
|---|---|
| 文字数 | 600字以上825字以下の範囲に収まっているか |
| 文章の構成 | 論理的な構成になっているか、段落の展開に一貫性があるか |
| 分かりやすさ | 読み手に伝わる表現になっているか |
| 表記の正確さ | 誤字・脱字がないか、正確な表記を使えているか |
<内容>
| 観点 | 着目点 |
|---|---|
| 着想 | テーマに対して独自の視点・切り口で論じているか |
| 論旨・結論 | 主張が明確で、結論に向かって一貫した論旨があるか |
| 自分の考え | 自分の言葉で考えを述べているか、借り物の表現に頼っていないか |
私が教員として現場にいた頃の感覚で言うと、採点官が最も重く見るのは「自分の考え」の観点だと思っている。 教育に関する一般論をつなげるだけでは、どの答案も似たようなものになる。 教育実習の経験でも、ボランティア活動でも、アルバイト先の子どもとのやりとりでも、何か具体的なエピソードを軸に論を展開した答案のほうが、読んでいて記憶に残る。
7つの観点のうち「内容」の3項目は、書き直しがきかない。 準備できるのは今だけだ。
論文について、2次試験当日に本人ができることは何もない。 提出された答案がそのまま評価される。
そのため、2次対策の中心軸は完全に「模擬授業」「個人面接」に移ることになる。 1次が終わった翌日からは、迷わずそちらに切り替えてほしい。
論文の書き方・過去問・模範解答については、以下の3記事で詳しく扱っている。
この記事ではSection 2をここで閉じる。 次のSection 3からは、2次試験の本命である「模擬授業」に入る。
神奈川県の模擬授業には、押さえておくべき条件がいくつかある。 公式実施要項から引用しておく。
「指定されたテーマに沿った1単位時間の授業計画を立て、導入から展開にかけての最初の10分間(準備、片付けを含む)を模擬授業として行います。」
つまり授業全体の設計は1単位時間分だが、実際にやって見せるのは最初の10分間だけ。 しかも準備と片付けを含むので、純粋に授業できる時間はもっと短い。 指導案はA4用紙1枚を試験当日に提出する。
ほかに確認しておくべき制約が3つある。
電源不可というのは意外と見落としやすい。 「GIGAスクール端末を授業内でデモしよう」と考えていた受験者が当日困るのをたまに聞く。 板書・プリント・実物教材のみで成立する授業設計が前提だ。
もう一点、テーマの公開タイミングについても確認しておく。
今(6月中旬)の段階では、テーマも評価観点もまだ公開されていない。 公開されたら即確認すること。 見逃す人が毎年一定数いるので、カレンダーにアラームを入れておくことをすすめる。
A4 1枚という制約は厳しいようで、実はありがたい。 「何を書けばいいか」が絞られるからだ。
私が現場で使ってきた指導案の構造をベースに、以下の4項目でまとめる。
| 項目 | 目安の行数(A4 1枚想定) |
|---|---|
| ①単元・本時の目標 | 2〜3行 |
| ②学習活動(導入3分+展開7分) | 12〜15行(時間/活動/留意点の3列) |
| ③指導上の留意点 | 3〜4行 |
| ④評価規準 | 2〜3行 |
サンプル指導案(小学校国語・3年生/物語文の場面読み)
単元名: 「ちいちゃんのかげおくり」第2場面を読もう
本時の目標: 場面の様子を表す言葉に着目し、登場人物の気持ちを自分の言葉で読み取ることができる。
学習活動
| 時間 | 学習活動 | 指導上の留意点 |
|---|---|---|
| 導入 0:00〜3:00 | 前時の振り返り(場面1のちいちゃんの様子を想起) / 本時のめあてを板書「場面の言葉からちいちゃんの気持ちを読もう」 | 前時の振り返りカードを手元に置かせ、スムーズに想起できるようにする |
| 展開 3:00〜10:00 | 第2場面を音読(全体→個読) / 「青いそらにきれいにうつった」の一文に線を引く / 「このとき、ちいちゃんはどんな気持ちだったか」と発問 / ペアで交流→全体共有 | 「どんな言葉からそう思ったか」と根拠を問い返す / 「幸せ」だけでなく「一瞬の喜び」への気づきを引き出す揺さぶり発問を準備しておく |
評価規準: 場面の言葉に着目し、登場人物の気持ちを自分の言葉で表現しようとしている。(観察・発言)
このサンプルで意識したのは「問い返しの発問」を留意点に書いておくことだ。 採点者は指導案を手元に置きながら模擬授業を見る。 「揺さぶり発問」「根拠を問い返す」という言葉が指導案にあると、実際にそれを言えたときの評価が上がる。
私が現場にいた頃、採点する側の先生が「指導案に書いてあることと、やっていることが一致しているかどうかを見る」と話していたのを今でも覚えている。 指導案は「宣言書」だ。 書いた以上は実行する、という覚悟で書くといい。
電源もプロジェクターもない環境で10分間を組み立てる。 私が現場で見てきた中で、うまくいく組み立ては一貫してこの型だった。
導入(0:00〜3:00)
展開(3:00〜10:00)
準備と片付けを含めて10分なので、実際には準備に30秒〜1分かかる。 試験官に「始めます」と言ってから板書を始めるまでのロスを、事前に想定しておく。
現場で何度か研修や模擬授業の場に立ち会った経験がある。 見ていて「あ、この人は通るな」と感じる人には、共通した特徴があった。
評価された人のパターン
①板書が「見出し+キーワード」だけで完結している
導入のめあてを板書するとき、ダラダラ書かずにシンプルに一行で書ける人は強い。 私自身も初任の頃、板書が長くなりすぎて試験官の目線が板書ではなく時計に向いた経験がある。 「書く量を絞る」は板書の基本だが、緊張すると逆に書きすぎてしまう。 練習のうちに「めあては20字以内で書く」というルールを自分に課しておくといい。
②発問が一つに絞られている
「どう思いますか? どんな気持ちですか? なぜそう思いましたか?」と3つ連続で投げる人がいる。 子どもは何に答えればいいかわからない。 私が現場で意識してきたのは「発問は一文、一問」という原則だ。 10分という短い時間では特にこれが目立つ。
③子どもへの目線配りがある
実際には子どもがいない設定でも、目線を正面の空間に向けて話しかけられる人がいる。 その動作一つで「教室を想像して授業している人」だとわかる。 逆に指導案だけを見下ろして話している人は、授業らしさが薄れてしまう。
評価されにくかったパターン
どれも「緊張するとやってしまいがち」なパターンだ。 練習のうちに意識して直しておくといい。
小学校
全教科の準備が必要だが、本番で指定されるのは1教科だ。 算数・国語・生活・道徳・体育・図工と幅が広い。 特定の教科に絞って練習するより、「導入3分の型」を一つ身体に染み込ませておく方が応用が効く。 私が現場で見てきた小学校受験者の中で、「どの教科が来ても同じ型で入れる」と言っていた人は、本番でもブレが少なかった。
中学校
教科の専門性を見せる場でもある。 ただし「知識の説明」で終わってしまうと授業でなく講義になる。 生徒が「なぜだろう?」と思う瞬間を導入に仕込めるかどうかが分岐点だ。 実生活に結びついた問いから入ると、興味を引きやすい。
高校
教科書レベルの内容を押さえながら、「生徒が自分で考える場面」を意図的に作れるかが問われる。 「講義型」に寄りすぎると評価されにくい。 10分という短い時間でも、「生徒に考えさせる30秒」を入れられるかどうかが差になる。
特別支援学校
子どもの実態に合わせた個別配慮を、どれだけ具体的に指導案に書けるかがポイントだ。 「配慮が必要な場合は〜」という一般論ではなく、「視覚情報を補うためにカードを使う」「指示を分解して一つずつ伝える」など、具体的な手立てを書く。 実態の想定を指導案に一言入れておくだけで、採点者への伝わり方が変わる。
養護教諭
保健指導の導入を組み立てる。 けが・睡眠・食生活などがテーマになりやすい。 「今日はこれを知りましょう」ではなく、「最近こんなことありませんか?」という問いかけから入ると子どもが自分事として受け取りやすい。 私が現場で保健の先生の授業を見ていて印象に残ったのも、最初の問いかけが具体的で身近な内容だったものだ。
栄養教諭
公式仕様に「1回の給食の時間における食に関する指導において、導入からの部分で授業を行ってください」とある。 給食時間は20〜25分程度の自治体が多い。 限られた時間で「今日の給食と関連した食の話」を一つ届けるイメージで設計するといい。 「今日の給食に入っている食材」を手がかりにする導入は、子どもの関心を自然に引きやすい。
個人面接で問われることは、大きく「神奈川県を選んだ理由」「教員としての姿勢」「具体的な対応力」の3軸に分かれる。 神奈川県は外国につながる児童生徒の多さ、インクルーシブ教育への取り組み、かながわ教育ビジョンなど、独自の文脈がある。 それを踏まえて回答を準備しておくことが、他県との差別化につながる。
30秒で答えるなら
「神奈川県は外国につながる児童生徒の割合が高く、多文化共生の視点が学校教育に根付いています。 その環境で、多様な背景を持つ子どもたちと関わり、それぞれの力を引き出す教員になりたいと考えました。 また、かながわ教育ビジョンが掲げる共生社会の担い手育成という方向性に共感し、志望しました。」
深掘りされたら
「神奈川県に決めた理由を具体的に」と問われた場合は、自分が調べたり体験した具体的なエピソードを一つ加える。 教育実習の経験、インターンシップ、外国籍の子どもとの接点などを紐付けると答えに厚みが出る。
私だったら「実習先で外国籍の子どもとのやりとりに苦労した経験」を話す。 うまくいかなかった経験から入ることで、「だからこそ神奈川でやりたい」という流れが自然になる。
横浜市・川崎市・相模原市を受けなかった理由は、問われなければ触れない。 触れると「なぜ政令市ではないか」という余計な質問を呼び込む可能性がある。
30秒で答えるなら
自分の経験から「変わった瞬間」を一つだけ話す。 「〇〇先生に言われた一言で変わった」「子どもと関わった体験で決めた」など、場面を絞る。 「子どもが好きだから」だけでは弱い。
深掘りされたら
「それから今まで、気持ちが揺らいだことはなかったか」という問いが来ることがある。 私だったら正直に「一度揺らいだ時期があります」と答える。 揺らいでもここにいる、という話の方が面接官の印象に残りやすい。
30秒で答えるなら
「かながわ教育ビジョンが掲げる『共生社会の担い手育成』と、インクルーシブ教育の推進を特に意識しています。 すべての子どもが共に学ぶ環境を整えることを、神奈川県が重点施策として進めていることは、自分が目指す教員像と一致しています。」
深掘りされたら
「具体的に学校でどう実践するか」まで聞かれる。 私だったら「通常学級での合理的配慮の具体的な場面」を一つ語る準備をしておく。 たとえば「ノートに書けない子どもへの板書コピーの提供」「指示を視覚化する工夫」など、実際の授業場面で言える話を用意しておくといい。
いじめ防止基本方針、子どもの権利に関する施策も頭に入れておくと、派生質問に対応しやすい。
30秒で答えるなら
「どの子どもも『安心して間違えられる』学級をつくることです。 正解を急がず、考える過程を評価することで、発言に臆する子どもが減ると考えています。」
深掘りされたら
「安心できる学級をつくるために具体的にどう動くか」を聞かれる。 私だったら「朝の会の使い方」「座席配置の考え方」「係活動の設計」など、日常の具体的な場面から話す。 抽象的な「温かい雰囲気」よりも、「月に一度、全員が話す場を作る」のような手立ての方が伝わる。
30秒で答えるなら
「保護者から『うちの子が友だちにからかわれている』と連絡が来た場面を想定しています。 まず事実確認を丁寧に行い、保護者には確認中であることを率直に伝えます。 解決策より先に『話してくれてよかった』という受け止めを示すことを大切にしています。」
深掘りされたら
「クレームが長期化した場合は?」と問われることがある。 私だったら「一人で抱えず、学年主任や管理職に早い段階で相談する」を必ず入れる。 「自分で解決しようとしすぎる」という評価を面接官は警戒している。 チームで動くという姿勢を見せることが重要だ。
30秒で答えるなら
「まず被害を受けている子どもの安全を確保します。 本人に話を聞く際は、責めるような言い方をせず、事実を確認します。 同時に担任一人で判断せず、管理職に報告し、組織として対応することを基本にします。」
深掘りされたら
「加害者側の子どもへの対応は?」まで掘られることがある。 私だったら「加害側も何らかの背景を抱えている可能性を前提に話を聞く」という姿勢を伝える。 罰則的な対応より、「なぜそうしたか」を一緒に考えるアプローチを軸にする。
神奈川県はいじめ防止条例・子どもの権利条例に基づく取り組みを進めている。 「子どもの権利という観点から対応する」という言葉を一つ入れると、施策を把握していることが伝わる。
30秒で答えるなら
「まず登校できない理由を決めつけず、本人・保護者の話を聞くところから始めます。 『学校に来させること』よりも、その子にとっての安心できる場所や方法を一緒に考えることが先だと思っています。」
深掘りされたら
「具体的な連絡の頻度や方法は?」を聞かれることがある。 私だったら「週1回の家庭連絡を基本にしながら、本人が望むペースに合わせて調整する」という答えを用意しておく。 毎日の電話は場合によってはプレッシャーになるので、一律ではなく柔軟性を示すといい。 別室登校・オンライン登校など、多様な学び方の選択肢に触れておくと現場感が出る。
30秒で答えるなら
「まず個別の教育支援計画を確認し、担任一人の判断で動かず、特別支援コーディネーターや専門家と連携します。 通常学級での合理的配慮として、指示の視覚化・板書の整理・活動の見通しを持たせる工夫を優先的に考えます。」
深掘りされたら
「クラス全体との両立が難しい場面は?」と来る。 私だったら「一人への配慮が他の子どもへの不公平に見えないよう、クラス全員がわかりやすい環境にすることを基本にしている」と答える。 UDL(学びのユニバーサルデザイン)という言葉を一つ入れると、学んでいることが伝わる。
神奈川県はインクルーシブ教育の推進を明確に打ち出している。 「インクルーシブ教育の理念に沿って」という言葉を一箇所使うと、県の施策との接続が見える。
30秒で答えるなら
「端末を使うことを目的にせず、学習の目標に対して有効な場面で使うことを意識しています。 たとえば自分の考えをロイロノートで共有し、他者の意見と比較して思考を深める場面や、撮影した実物を拡大表示して観察する場面などで活用します。」
深掘りされたら
「端末を使わない方がいい場面はあるか?」と来ることがある。 私だったら「感情や体験を丁寧に言語化する場面では、手書きや対話を優先する」と答える。 「ICTは万能ではない」という視点を持っていることが、むしろ好印象につながる場合が多い。
30秒で答えるなら
「私の弱みは、物事を抱え込みすぎてしまう傾向があることです。 改善のために、仕事の進捗を週次で同僚に共有する習慣をつけ、早めに相談できるようにしています。」
深掘りされたら
「教員になってからの不安はあるか?」につながることがある。 私だったら「不安はある、でも一人でやろうとしない」という方向で答える。 「弱みを克服した」という結論より、「継続して取り組んでいる」の方が誠実に聞こえる。
弱みを「完璧すぎること」「頑張りすぎること」という表現で答えるのは避けた方がいい。 面接官には見抜かれやすく、かえって印象が悪くなる。
面接は10問すべてに模範解答を用意するより、「この10軸で何を問われても自分の言葉で答えられる」状態にしておく方が本番に強い。 想定問答を書いて、音読して、誰かに聞いてもらう——この繰り返しが一番効く。 私が現場に出て最初に痛感したのも、「準備した言葉を話す」より「聴いてもらいながら話す」という訓練の大切さだった。
小学校・特別支援学校・養護教諭・栄養教諭は実技試験なし。 面接(模擬授業+個人面接)と論文採点のみで合否が決まる。
これを最初に書くのは、実技の準備に余計なエネルギーを使ってほしくないからだ。 私が元小学校教員として周囲の受験生を見てきた中でも、 「自分には実技があるかもしれない」と思い込んで情報を曖昧なまま対策している人は意外に多かった。 自分の校種・教科をまず確認する、それだけで無駄な準備は消える。
実技の対象は中学校・高等学校の一部教科のみだ。 そして、面接日と実技日は必ず別日になっている。 同じ週に2日連続で試験が入ることも十分ありうるので、スケジュール管理は早めに。
| 教科 | 実技日 | 面接日との関係 |
|---|---|---|
| 中高 音楽 | 8月13日(木) | 面接日(8/3〜14のうち指定1日)とは別日 |
| 中高 美術 | 8月13日(木) | 同上 |
| 中高 保健体育 | 8月17日(月) | 同上 |
| 中学校 技術 | 8月11日(火) | 同上 |
| 中高 家庭 | 8月13日(木) | 同上 |
| 中高 英語 | 8月10日(月)または8月11日(火) | 同上 |
音楽の実技は4種目ある。 それぞれ要件が細かく定められているので、一つずつ整理する。
① 歌唱
コールユーブンゲン第1巻の「第39章 短調和音練習、拡張された長調の和音練習」までの範囲から、当日に1曲が指定される。 伴奏なしの無伴奏で歌う。 固定ドと移動ド、どちらで歌ってもよい。 楽譜を見て歌うことも認められている。
② ピアノ演奏
次の4曲から1曲を選択して演奏する。 暗譜必須、繰り返しは省略、楽譜を2部持参する。
選曲の幅はかなり広い。 クレメンティは技術的にアプローチしやすいが、ブラームスやドビュッシーは音楽性が問われる曲だ。 得意なスタイルと自分の技量を照らし合わせて、早めに1曲を決めて練習を積む方がいい。
③ リコーダー独奏
ソプラノまたはアルトのいずれかを使用。 中学校・高等学校の教科書に掲載されている曲の中から、リコーダーの特徴を生かした表現ができる曲を選ぶ。 暗譜必須、楽譜2部持参。 「リコーダーの特徴を生かした表現」という基準がある以上、 速いパッセージだけが映えるわけではなく、音色の美しさや強弱の使い方が見られると考えた方がいい。
④ 弾き歌い
次の6曲から1曲を選択する。 調は自由、楽譜を見て歌うことも可。
調が自由なので、自分の声域に合わせて無理なく歌える調を選べる。 ただし鍵盤上で移調して弾く必要があるため、移調の練習も早めに積んでおく。
当日の持ち物
美術の実技は3種目、すべて当日に実施される。
① 素描
鉛筆によるデッサン。 モチーフは当日提示される。 鉛筆は複数の硬さを用意しておく(H〜6B程度の幅)と対応しやすい。
② デザイン
与えられたテーマについて、アクリルガッシュ等を用いた平面構成。 テーマは当日指定される。 アクリルガッシュは乾燥が速く修正が難しいので、事前に十分慣れておくこと。
③ 立体
与えられたテーマについて、配付された紙等を用いた立体的な構成。 道具を使いすぎると時間を消費する。 紙の折り方・切り方のバリエーションを素早く出せるよう、手を動かす練習を積んでおきたい。
当日の持ち物
必須3種目と選択1種目の計4種目が課される。
必須3種目
選択1種目(申込時に選択・変更不可)
選択種目は申込受理後の変更ができない。 出願の段階でどちらにするか決めて、それに集中して練習しておく必要がある。
私の同期に体育専門の先生がいて、話を聞いたことがある。 「柔道は安全に受け身が取れることが最低条件、マット運動は倒立前転と側転は必ず確認してくる」と言っていた。 水泳は25mを規定フォームで泳ぎきれるかどうかが基本になるので、 フォームを崩さず完泳できる練習を先に仕上げてから、スピードに移る方がいい、という話だった。
当日の持ち物
技術の実技は中学校のみが対象(高等学校技術はない)。
内容は中学校学習指導要領「第8節 技術・家庭」の技術分野のうち、 「A 材料と加工の技術」および「C エネルギー変換の技術」に関する基礎的実技。 問題のレベルは、中学校技術・家庭科の検定済教科書に掲載されている程度とされている。
「検定済教科書レベル」という基準は、実技試験としては比較的明確な指針だ。 使える工具の名称と用途、安全な扱い方、木材や電気回路の基礎的な知識と操作、 この範囲を中学校教科書ベースで再確認しておけば対応できる。
当日の持ち物
「衣生活」に関する基礎的実技が課される。 具体的な課題は当日指定されるが、中学・高校の家庭科教科書の衣生活領域が基礎になる。
私は小学校担当だったので、家庭科の専科の先生に話を聞いたことがある。 「手縫いの基本縫いとボタン付けは最低ライン、直線縫いのミシン操作は必ず練習しておいた方がいい」と言っていた。 時間内に課題を仕上げることを想定して、スピードを含めた練習が必要だ。
当日の持ち物
英語コミュニケーション能力試験が課される。 「英語教育や英語教授法等についての意欲、知識、技能を含む」という記載があるので、 純粋な英語運用能力だけでなく、英語を教えることへの理解や姿勢も見られる。
スピーキングやリスニングが中心になると想定されるが、 「英語教授法」という観点が含まれる点が他の語学試験とは異なる。 英語で授業をするとはどういうことか、という視点も頭に入れて臨んでほしい。
実技日は8月10日(月)または8月11日(火)の2日設定があるので、 自分に指定されている日を受験票で必ず確認しておくこと。
当日の持ち物
特別選考⑧(国公立学校正規教員として在職中の方)は実技試験が免除される。 また、面接試験等を欠席・途中棄権した場合は実技試験を受けることができない。 面接が先に予定されている場合は、実技の準備よりも面接を最優先で仕上げること。
1次合格発表は7月23日(水)予定。 面接初日は8月3日(月)。 この11日間に何をするかで、当日の仕上がりが大きく変わる。
私が今受けるなら、持っている時間量に合わせて戦略を変える。 「頑張ります」だけで動くと、模擬授業の練習が足りないまま個人面接だけ仕上がるケースが多い。 2次試験で配点の重心は模擬授業にある、という前提で時間の配分を考えてほしい。
以下の3パターンは、実際の受験生の状況を想定して組んだ目安だ。
学生・浪人・育休中など、平日昼間もまとまった時間が取れる人向け。
優先配分の考え方
| 項目 | 配分比 |
|---|---|
| 模擬授業(計画・練習・修正) | 55% |
| 個人面接(想定問答・録音確認) | 35% |
| 実技(中高音楽・美術・体育等、該当者のみ) | 10% |
時系列タスク表
| 期間 | やること |
|---|---|
| Day 1〜3(7/23〜25) | 模擬授業テーマ確認(6月下旬に公式公開)→単元を決める→指導案A4一枚の初稿を書く |
| Day 4〜7(7/26〜29) | 指導案を声に出して10分間の授業として通す→友人や家族に見せて改善→2稿完成 |
| Day 8〜11(7/30〜8/2) | 模擬授業の仕上げ練習(3回以上)→個人面接の想定問答を10問準備→声に出して練習 |
| Day 12〜14(8/1〜前日) | 模擬授業の最終確認→想定外の質問に答える練習→前日は早めに切り上げて睡眠を確保 |
私が今この立場なら、Day 1〜3を「指導案の初稿を書くだけで終わらせない」ことを意識する。 初稿を書いたその日のうちに一度声に出してみると、 「この流れは10分に収まらない」という現実的な問題が早めに見えてくる。
臨任講師・常勤講師・学生のアルバイトと並行している人向け。 おそらく受験生の中で最も多いパターンだと思う。
優先配分の考え方
| 項目 | 配分比 |
|---|---|
| 模擬授業(計画・練習・修正) | 60% |
| 個人面接(想定問答・録音確認) | 30% |
| 実技(中高音楽・美術・体育等、該当者のみ) | 10% |
時系列タスク表
| 期間 | 平日(2時間) | 休日(4時間) |
|---|---|---|
| Day 1〜3(7/23〜25) | 模擬授業テーマ確認・単元選定 | 指導案A4一枚の初稿を完成させる |
| Day 4〜7(7/26〜29) | 指導案を読み返して修正・声に出す | 10分間の通し練習を2回以上・問題点を書き出す |
| Day 8〜11(7/30〜8/2) | 個人面接の想定問答を1問ずつ仕上げる | 模擬授業の仕上げ+想定問答を声に出す |
| Day 12〜14(8/1〜前日) | 模擬授業の最終チェック(持ち物確認含む) | 想定外質問の練習・前日は21時以降は練習しない |
臨任で毎日授業をしていると「模擬授業なんて普段やっていることだから大丈夫」と思いがちだ。 私も現場にいた頃、そう感じていた。 ただ、実際の試験の模擬授業は10分という強制的な時間制約がある。 普段40〜50分でやっていることを「10分で導入から展開の入り口まで」に刈り込む作業は、 慣れた人ほど手間取ることが多い。
フルタイム勤務しながら受験する人向け。 実際にこのパターンで受かっている人はいる。 ただし捨てるものを先に決めないと詰む。
優先配分の考え方
| 項目 | 配分比 |
|---|---|
| 模擬授業(計画・練習のみ、作り込みは捨てる) | 70% |
| 個人面接(最重要5問だけ仕上げる) | 30% |
| 実技 | 0%(平日は無理、休日の1日だけ最低限確認する) |
時系列タスク表
| 期間 | 平日30分 | 休日2時間 |
|---|---|---|
| Day 1〜3(7/23〜25) | 模擬授業テーマ確認・単元を1つ決める | 指導案A4一枚の初稿を書く(2時間でここまで) |
| Day 4〜7(7/26〜29) | 指導案を声に出して修正箇所をメモする | 通し練習を1回+修正+2稿完成 |
| Day 8〜11(7/30〜8/2) | 個人面接の最頻出5問の回答を固める | 模擬授業の通し練習2回+個人面接練習 |
| Day 12〜14(8/1〜前日) | 指導案の持ち物を確認・当日の流れを頭に入れる | 模擬授業最終確認+実技の最低限確認 |
私が今フルタイム勤務しながら受けるとしたら、 面接の想定問答を「10問全部仕上げる」という目標は最初から捨てる。 志望動機・教員としての信念・いじめ対応の3問を深く仕上げるほうが、 表面的に10問準備するより試験当日に機能する。
絞ることは諦めることじゃない。 限られた時間を何に使うかを決めるのが、突貫パターンの核心だ。
| 完璧パターン | 標準パターン | 突貫パターン | |
|---|---|---|---|
| 使える時間 | 1日3〜4時間 | 平日2h/休日4h | 平日30分/休日2h |
| 模擬授業の仕上げ | 通し練習3回以上 | 通し練習2回以上 | 通し練習1〜2回 |
| 個人面接の準備 | 10問フル準備 | 10問準備・声出し | 最重要5問に絞る |
| 実技の扱い | 並行して準備 | 休日に確認 | 前日に最低限確認 |
| 捨てるもの | とくになし | 細部の作り込み | 面接5問と実技の完成度 |
どのパターンでも、模擬授業の優先度は個人面接より高い。 私の経験から言っても、「面接の受け答えは普通だったけど模擬授業で差をつけた」というケースは珍しくない。 残り2週間、まず指導案の初稿を書くことから始めてほしい。
前日の夜に、バッグに入れて確認するものをリストアップした。 当日の朝に「あれどこだっけ」が起きる状況は、可能なかぎり潰しておきたい。
私が教員を目指していた頃、同期が「受験票を家に忘れて気づいたのが会場についてから」という話をしていた。 前日の夜にバッグへ入れて、朝は中身を確認しない(触って安心するだけにする)、という習慣を持っておくと失敗が少ない。
夏の試験なので、スーツの選択には注意が必要だ。
私が元同期から聞いて「それは盲点だった」と思ったのは靴下の話だ。 模擬授業の会場で予想外に靴を脱ぐ場面があったとき、穴の空いた靴下だったという話は笑えない。 夏の試験だからこそ、足元まで気が回るかどうかが問われる。
神奈川県の二次試験会場は、横浜市内および近郊に設定されることが多い。 受験票が届いたら、まず地図で確認して所要時間を検索しておくこと。
電車の遅延は「仕方ない」で済まないのが採用試験だ。 遅刻は受験不可になると公式要項に記載されている。 「あの電車が遅れたせいで」という状況を作らないために、30分以上の余裕を持って家を出ることを強くすすめる。
公式要項に「遅刻した場合は受験できません」という趣旨の記載がある。 当日の集合時刻は受験票に記載されているため、受け取ったらすぐに確認しておく。
私の実体験として、緊張しているときほど普段の習慣を崩さないことが大事だと感じている。 特別なことをしようとすると、ちょっとしたズレが気になり始める。 前日・当日は「いつも通り」を意識するのが一番だ。
二次対策で実際に手元に置いておきたい本を3冊まとめた。
神奈川独自方式のおかげで、論文対策は1次試験日(7月6日)に完了している。 2次に向けて残っているのは、模擬授業・個人面接・実技だけだ。
私だったら、論文が終わった翌日から模擬授業の想定問答を書き始める。 10分間の授業展開を3パターン作り、それぞれについて「面接官からどんなツッコミが来るか」を想定した問答を3〜4本書いて、論作AIに渡して添削させる。
論作AIは模擬授業の指導案や想定問答文の添削に使える。 「この書き方で伝わるか」「論理の流れが整合しているか」を客観的に確認できるのは、一人で準備を進めるときに特に助かる。 フィードバックを受けて直した版をもう一度回す、というサイクルを3〜4周できれば、本番前には自分の軸がかなり固まるはずだ。
神奈川は1次日に論文を書き終えているぶん、2次の準備期間を丸ごと「話す・動く・見せる」系の対策に使える。 そこを活かさないのはもったいない。
熊本市教員採用試験 二次選考(7/26-8/8)の全体像・配点250〜310点満点・対策をまとめた完全ガイド。1次と独立判定/論文40点/模擬授業60点/個人面接×2で150点 という熊本市特有の構造を元教員が徹底解説。熊本県との違いも整理。
埼玉県教員採用試験 二次選考は「3段階」構成が最大の特徴。8/8に集団討論(90点)+論文(50点)+適性検査、8/9に中学7教科の実技、8/30に個人面接(場面指導込み)という別日分散方式だ。最終合格発表は9/30。小中養栄を対象に、各段階の試験内容・配点・準備の進め方を元小学校教員が実務的に解説する。
静岡県教員採用試験 二次選考(6/27-28)の全体像・校種別配点・対策をまとめた完全ガイド。小・中・養護・栄養は個人面接100点ほぼ一発勝負、高校だけ小論文10点+集団面接45点+個人面接100点の三本立て。静岡県固有の『有徳の人』『GIGA活用』『南海トラフ防災』を踏まえた頻出質問と回答方針を元教員が徹底解説。
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